アイツの空 (ページ12)

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結衣ちゃんは、
自分がどう振る舞えば得をするか、
天性の勘で理解してる人だ。

自分の見せ方を心得てらっしゃる。

場面場面によって、
さばさば女子にもしっとり女子にも、
天真爛漫女子にも七変化。

勝ち目どころか。

もはや同じステージにも立ってない。

おんなじオンナであることすら疑わしい。

「どこで聞きつけてきてん。
結衣はいっつも早耳やなあ」

てことは。

本当なんだ。

結構な衝撃を今、受けてる。

シンゴがいなくて、
うちの雑誌、大丈夫なんだろうか。

「次の編集長はA先輩で決まりですよね。
ねっ？」

いつの間にか隣にいる結衣ちゃんが、
私の腕につかまって、甘えてくる。

「もしそうなら、
私、断る。
編集長なんて荷が重いし」

結婚が遠のく。

そう言った瞬間、
シンゴに頭ぶっ叩かれた。

「A、お前はアホか。
誰もが就けるポストちゃうねんで」

シンゴは厳しい。

自分にも他人にも、男にも女にも、
年寄りにも子供にも。

けど、私は、
仕事だけの人生は嫌なの。

不本意ながら、
現状は思いっきり仕事だけの生活を送ってるわけだけど。

「痛いなあ、もお。
バカになるじゃん」

ただでさえ、
最近、長い複雑な文章読むのが面倒くさいのに。