青の微熱(1)

４ ページ4

.



長かった夏休みが終わり
新学期と共に学校が始まった









隆弘くんは私より1つ年上の高校3年生
幸い、学校では別の校舎で過ごせる




少しだけ安心出来る空間






･









皆の前では“仲の良い兄妹”を演じるしかない
周りにバレたら、私は＿＿...







“困るのはAの方だからね...？”








.







ｶﾞﾗｯ








ドアが開くと共に私の意識はやっと解放される









先「席着け〜、転校生紹介するぞ！」









一斉に静かになる教室
先生に続いて教室へと入って来る姿









先「京都から引っ越してきた、與真司郎くんだ」









.









真「與真司郎です。よろしくお願いします」







黒板の前で挨拶をする彼は
元気の良い声で、眩しい笑顔でそう言った








.









何だか見覚えのあるその姿に
夏休みの一瞬の記憶が呼び起こされる










「(...この前の...？)」









前髪を上にあげてセットされた黒い髪
背が高く整った顔、ハスキーな声が特徴的





まるで少年漫画の主人公みたいな男の子






.








先「じゃあ與の席は...西島の隣だな」








先生が私の方を指さすと、彼が大きな目で私を見つける
ぱちっと合う目線








.









真「あっ！」









大きな目をさらに大きく開けて
何かに気がついたみたいに、キラキラとした笑顔を浮かべる









真「君、この前の...！」



真「同い年やったんやな〜」









この辺では聞き慣れない関西弁を話しながら
彼が真っ直ぐ歩きながら私の方へ向かってくる









「(京都から引っ越してきたんだっけ...)」









この小さな島は、人口も多くはない
ほとんどの人が顔見知りだから








通りで見たことなかったんだ








.









真「この前は驚かしてごめんな！」



真「やっと同い年ぐらいの子見つけられて嬉しくて(笑)」









私の目の前まで来た彼は
私の言葉を待つように首を少し傾けて笑う








.









「(どうしよう...)」







何て返したら良いのか分からない
男の子となんて、ちゃんと話したことがないから









もちろん、その理由は
彼の異常な束縛のせい









.

５→←３*

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す