君にロックオン！【青根高伸】 (ページ3)

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3.見返りの求めない親切ページ3

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「やっと終わった………」

頼まれた仕事を終えると、すでに時間は20時。
買い物したかったけど、疲れたしお腹すいたからもういいや。まっすぐ帰ろう。
メイクもすでによれているけど、直さなくていいや。
トボトボと、駅へ向かうと
朝見たあの緑色の制服を着た背の高い男の子がいた。

あの男の子だ！！！！
縦にも横にも大きい体。
銀色の短髪。
振り返ると………そうそう、眉毛がなくて……
って顔コワッ！！
痴漢もさぞかし恐ろしかっただろう……なんてこと考えてしまう。
それでも、会いたかった人だ。私は夢中で追いかけた。

「あの……ちょっと……待って！」

彼はこちらに気づかずに、スタスタと歩いて行ってしまう。
体が大きいから一歩も大きいのか、とても早い。
待って……待って！
ガシッ！！！
やっと追い付いたので、しっかりと腕にしがみついた。

「ちょっと………待って………」

そう言って顔を見上げると、彼はとても驚いた顔をしていた。

「朝のお礼がしたくて………」

髪も顔もボロボロだったかもしれない。
いくら見た目がいかつくても、制服を着た高校生の男の子をつかまえて
私、何をしてるんだろうか。
でもこの気持ち、説明できない。

「お礼なんていいです……」

彼はボソリと呟いた。

「そ、そっか………。ごめんね」

私は腕を離した。
変な大人だと、思われたかな。恥ずかしい。
その時突然、夕立のような激しい雨が降りだした。
最悪だ………。

バサッ
彼は大きな傘を広げて私に被せた。
そして無言で、私の肩に傘を預けて………

「ちょ、ちょっと待って！！」

また何も言わずにその場を走り去っていく。
濡れながら走る彼の姿を私はずっと見ていた。