君にロックオン！【青根高伸】

14.君と話すだけで ページ14

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こんなこと、青根くんに話したって仕方ないけど
ただ言いたいだけなんだ。



｢会社の同期の女の子が彼氏とうまくいってないみたいなの。
なんか、そういうの、あんまり聞いちゃいけないのかなって思っちゃってさ｣



部活が終わった青根くんは、うちに来てくれていた。



｢青根くんだったら……例えば部活の後輩とか。
そういうこと聞いちゃう？そっとしておく？｣

｢俺は聞かないな｣

｢まあ、そうだよね｣


とてもそんな話をするタイプには見えない。



｢でももし落ち込んでいる様子だったら、出来る限り励ましたいと思う｣




青根くんの言葉に、最近の自分を思い返してみた。
歩ちゃんの落ち込んだ姿。
腫れ物に触るような扱いだったかもしれない。
せめて、何かあった?大丈夫？と声をかければよかった。




｢俺には、会社のことはよくわからないけど…｣



言葉を選ぶように、ゆっくり話す青根くん。



｢毎日約束しないでも顔を合わせるんだから
クラスメイトみたいなもんじゃないのか？｣



職場の人間なんてそんな関係性じゃない。
大嫌いな上司に、怖い先輩。
上辺だけで付き合っている同僚。
そんな関係で溢れている。




｢そんな、皆仲いいってわけじゃないけど…｣

｢部活も同じかもな。
試合に勝ちたいっていう目標は同じだから
苦手な奴ともうまくやっていこうと思うんだ｣



いつになくよく話す彼は、本当に部活が好きなんだろう。
でも私は、立地場所や給料や待遇面で選んだ仕事…。
彼のように考えて、仕事をしていなかった。




｢そんな高い志持って仕事してないよ…好きな仕事ってわけじゃないし…｣

｢給料が欲しいっていう目標は同じだろ｣



そう言い切った青根くんが、なんだか真っ直ぐすぎて面白くて
少し笑ってしまった。



｢こんな話聞いてくれてありがとね、青根くん｣

｢笑う余裕ができたんならよかった｣

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