君にロックオン！【青根高伸】 (ページ30)

今日:2 hit、昨日:19 hit、合計:91,774 hit

30.この先の未来ページ30

.

「って言うか、あんなタイミングで私にブーケ渡すとか
勘違いされちゃうでしょ」

青根くんは意味が分かっていないみたいで、ぽかんとしている。

「だって、俺は男だから俺が受け取っても仕方ない」

「まあそうだけど！ブーケトスの意味分かってるの？」

男の子って、たまに本当に鈍感で女心分かってないよね。

「知ってる」

「知ってるって…あれ、受け取った人が次に結婚する人って意味だよ！」

青根くんは珍しく、少し微笑んだ。

「次……が何年後がはわからないけど、いつかその時は来るだろ」

それは、青根くんが貰ってくれるっていう意味に捉えていいのですか。

「まだ高校生なのに…」

「でももう18歳だ」

ブーケは部屋の花瓶に刺して飾った。
今日の写真、プリントアウトしてその隣に飾ろう。
いつかこの人の隣で結婚式を挙げるときが来たなら
お色直しは、グリーンのドレスを選ぼうかな。

「…腹減った…」

「さっき結婚式でご馳走食べたばっかりじゃん」

「あんなちまちました物じゃ腹ふくれない」

少し早いけど、夕飯の支度をするか。
何で私ばっかりついてないの、なんて運命に愚痴った時もあったけど。
仕事で疲れて、ネガティブになっていた時もあったけど。
心の片隅に、青根くんが現れた日から
そんな溝が埋まっていった。

彼が社会人になれば、きっと彼も大変なこともあるだろうし
もしかしたら悩むこともあるかもしれない。
でもそんな時でも、お互いがお互いを癒せればいいな…。

「今日はトンカツが食いたい」

「揚げ物かぁ～よし！頑張るか」

その、大きくて全てのものから守ってくれそうな背中と迷いのない言葉だけで
今日も私は一日、幸せで居られるのです。

----- end -----