41:涙 ページ47
銀時が話し終わると、男は汗を額に浮かべ、突然叫んだ。
「なッ…何が優しいヤツだッ!坊主が関係してるとかしてないとか関係ねェ…こいつは人殺しだ!ただのゲス野郎だ!」
「…お前はAの何を見てそう言うんだ?」
そう低い声で言ったのは、うずくまってる小太郎だった。
「アイツの話を聞いていなかったのか?それに、俺はAが下衆な奴とは到底思えんがな…」
そう言い終わると、さらに男は青筋まで浮かべて、とうとう銃を捨てて剣を構えようとする。
しかし、その剣が抜かれることはなかった。
何故なら、私がその男を斬ったからだ。倒れているそいつの手下の剣を取り、動かない小太郎を"守る"為に、私は再び剣を取った。
そんな私の目からは涙が溢れていた。それは嬉しさなのか寂しさなのか、何を表しているのか自分ではわからない涙だった。でも、口からでた言葉は、驚くほど素直な言葉だった。
「…ありがとう。」
流石に体に負った傷が深すぎたのか、まともに立ち上がれなくなって来ている。そのまま倒れ、意識を失う直前に見えたのは、みんなが心配している顔だった。
ーー
目が覚めた時にまず最初に見えたのは白い天井だった。周りを見るとただの白い部屋。ベッドに寝ているから、きっとここは病院なんだろう。体を起こして見たが、かなりの痛みが全身に走った。見ると包帯が巻かれていた。
…そうか、私はあの男を倒した後、気を失って…
すると突然ドアが開き、その方向を見ると小太郎がいた。
「おお、起きたかA」
そう言って私の方によって来ると、彼はベッドの隣にある椅子に腰かけた。
「体の方はどうた?」
そう心配してくる小太郎が、なんかお母さんみたいだなと思ったが、それを口に出さずちゃんと質問に答える。
「全身痛いけど、なんとか大丈夫そう。」
「そうか、医者は明日には退院できると言っていたぞ。」
まだ全然痛いのに明日には退院できるくらいの治療をしたのか…最近の医療すごいな。
だが、私が倒れた後あの男がどうなったのか気になった。
「そう言えば、あの男の人どうなったの?まさかほったらかし?」
「いや、あの後どこから聞きつけたのか知らんが、真選組が来てあの男は連れていかれた。」
小太郎は今ここにいるから、身を隠すかなんかして乗り切ったんだな…
早く病院を出たいなと思い、窓の外を見る。外はもう暗く、こんな時間に小太郎は心配して来てくれたんだなと思うと、その優しさにまた涙が出そうになる。
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ほう(プロフ) - 枕崎のみやさん» コメントありがとうございます!小説を書くのも初心者なもので…うまくかけてるかわからなかったんですが、そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります!ありがとうございます! (2017年8月18日 8時) (レス) id: 40101de4c2 (このIDを非表示/違反報告)
枕崎のみや(プロフ) - こんにちは。コメント失礼します。主人公ちゃんが可愛くて桂さんがいけめん。もう、癒されてしまいます。更新頑張って下さい、応援してます!! (2017年8月17日 12時) (レス) id: 308a21cffc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほう | 作成日時:2017年8月10日 15時