40:ただの ページ46
この数週間で何人斬ったんだろう。少年を狙って追いかけて来るやつを斬ればまた逃げる。その繰り返しだ。少年は何故自分が狙われているのかも、母親や自分が殺されてしまうのも話してはくれなかった。それでもこの少年を守りたいと思うのはなんなんだろうか。自分でもよくわからないが、自分の中の何かがそうしようとするのだ。
少年の持つ地図に記されている所へひたすら向かう。たくさんの人を斬りながら。
少年と出会って約一ヶ月。ようやく地図に記されている所に着いた。
「ありがとうお姉ちゃん…これで僕もやっとお母さんの所へ行けるよ。」
お姉ちゃんも行こう!と少年は村へと向かうが、私の足は動かなかった。…いや、動かさなかった。
「…お姉ちゃん?」
不思議そうに私を見つめる少年に、まともに笑ったことがないのに作り笑顔をしようとして少年の目線に合わせてしゃがむ。
「…ごめんね。お姉ちゃんはこの先には行けないんだ。だから、一人で会ってきて。」
この少年は知らないが、人斬りが出ているとの噂があった。もちろんその人斬りとは私のことだ。まだ世間には私だということはわかってはいないが、それでも人斬りの名を背負う私は、これ以上この少年と一緒にいてはいけないと思った。
「…元気でね。」
そう言って私は本来の目的地、江戸へと向かった。
ーー
「…私が人斬りについて知ってるのはそれだけ。その他についてはわからない。」
その場にいた全員は銀時以外真剣に聞いてくれた。ただ、その銀時に聞きたいことがあった。
「ねぇ銀時、なんでこの事知ってるの?私が人斬りだってことも、私が男の子を連れていたってことも。」
「…きたんだよ。その坊主と母親が。」
「…は?」
来た?何で銀時の所に?
「銀ちゃん!私知らないアルよそいつが来たの。」
「僕も知らないですよ」
「ああ、そりゃあお前らが来る前の話だからな。
…Aが歌舞伎町に来る直前くらいにその坊主と母親が万事屋に来たんだよ。その二人は口を揃えて、"青い大きな着物を羽織った無愛想で強いお姉ちゃんを探してほしい"ってな。その姉ちゃん、ずっと坊主の事守ってくれたってな。結局見つからなかったんだが、オメェが歌舞伎町に来た時にわかったんだよ。お前があの坊主を救った奴なんだなって。」
何も言えなかった。自分がどんな気持ちなのかもわからなかった。
「だからよ、オメェは人斬りなんかじゃねェ。一つの親子を救ったただの優しいヤツだよ」
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ほう(プロフ) - 枕崎のみやさん» コメントありがとうございます!小説を書くのも初心者なもので…うまくかけてるかわからなかったんですが、そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります!ありがとうございます! (2017年8月18日 8時) (レス) id: 40101de4c2 (このIDを非表示/違反報告)
枕崎のみや(プロフ) - こんにちは。コメント失礼します。主人公ちゃんが可愛くて桂さんがいけめん。もう、癒されてしまいます。更新頑張って下さい、応援してます!! (2017年8月17日 12時) (レス) id: 308a21cffc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほう | 作成日時:2017年8月10日 15時