アンデルセンの両片想い【フロイド】

08-何だかんだ素直ですから ページ9

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全く持って訳の分からない憶測に、僕は吹き出しアズールは面食らって眼鏡がずり落ちていた。

フロイドは僕達の反応に苛立っている様子だ。
ハッとしたアズールが眼鏡をくいっと直す。





「勘違いしている様ですが、僕はAさんと付き合ってなど居ませんし、第一好きでもありません」

「…………は？」

「僕はただAさんの恋愛相談に乗っているだけです。彼女の想い人は他に居ますから」

「…………何それ聞いてないんだけど
オレ、ずっとAの好きなオスは、アズールだって、思って、」





思考が混乱した様だ。
ボサボサになった髪がさらに乱れている。

そんなフロイドを見かねてアズールはやれやれとため息をついて見せた。





「ですから言ったでしょう。他の誰かに取られても良いんですか？」

「…………」





俯くフロイド。
やはりアズールは交渉術というか、人を誘導させるのが上手い。


こういう所が僕が密かに尊敬しているアズールの長所でもある。





「…………ヤダ」

「フロイド？」

「ぜってえムリ。アズールだと思ってたから諦めようって思ってたけど、他の雑魚だったら絶対認めねえ。
Aがオレ以外の他の雑魚のもんになるとか、あり得ねえし」

「その息ですよ、フロイド」





フロイドの瞳に漸く光が戻った。
僕はいつも見守るに徹するが、アズールの口煩く注意するのも今日は役に立った様で何よりだ。



　「ああ、そういえば」
わざとらしく、アズールが懐を弄った。

取り出されたのは数枚の資料と写真。





「最近、Aさんの周りで気になる人物がうろついているので報告をしようと思っていたんです」

「気になる人物、ですか？」

「ええ。フロイドと同じ部活の後輩の、エースさんでしたか。彼が最近Aさんとよく行動を共にしているそうで」

「何ソレ。カニちゃんが？」





ああ、アズールが悪い顔をしている。
というより、この状況を面白がっていますね。

ほら、思った通り、フロイドの顔色がどんどん良くなっている。





「どういう事？ Aはカニちゃんが好きなの？」

「いえ、逆です。今はまだエースさんとAさんは友達として接している様ですが……それも時間の問題かと」

「ヤダ！！」

「だったらさっさと行動に移す事ですね」





かくいう訳でフロイドの拗らせた片思いは漸く進展しそうなのだが。

やはり持つべきものは幼馴染ですね。
僕がフロイドの立場だったら余計なお世話ですが。





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