45‐ある日の出来事 ページ46
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それから、1年が経って私達は2年生になった。
相変わらずドタバタで絶え間なく寮長は事件を起こすけど、それを機にアズール先輩ともまた一段と仲良くなれたし、楽しく学校生活を送っていた。
ユウはあの日以来別人になったみたいに、私の寮を怖がっていた。
というより、アズール先輩と、ジェイド先輩を、だけど。
私たちはすっかり仲直りしたけど、そのことについては1年経った今でも決して教えてくれない。
「A、昼飯どーする?」
「あ、エース。食堂行こーよ。お腹すいたー!」
「アイツら先に行ってるってさ」
2年ではユウとデュースは離れ離れ。その代わり、エースと同じクラスだ。
今年も暑かった夏が終わる。
夏休み気分はすっかり冷めて、また元通り学生の本分である勉強に身を出していくつもりだ。
「そーいや、A。今日はフロイド先輩と食べなくていーの?
珍しいじゃん。先輩が迎えに来ねえの」
「うん。何か今日はやることがあるんだって、昨日の夜言ってた」
「へー? 昨日の……夜、ねえ」
「ちょっと! へ、変な言い方やめてよ!
フロイドと電話してただけだってば」
私のフロイド呼びに、エースはまたけらけらと笑う。
ああいえばこう言う、なんてことわざがあるけど、エースはまさしくそれだ。
とにかく、昨日の電話でモストロ・ラウンジで用事があるから一緒にお昼ご飯が食べられないと言ってたから、しょうがない。
「おはよう二人とも、っていっても、もう昼だけどな」
「おはよう、ユウ、デュース」
「A、今日…ふ、フロイド先輩は?」
「今日は用事があるんだって」
「そ、そっか……良かった……」
今日も今日とてユウはオクタを怖がってるみたいだ。
1年前はあんなにフロイドが好きだったのに、一体どんな心変わりがあったんだろう。
そして二人に会って、皆で食堂でご飯を食べていると、不意にテーブルの半分が影を帯びた。
背後に誰かいる。何の躊躇もなく振り返ると、そこにはやっぱりジェイド先輩がいて。
ユウの顔は一気に真っ青になった。
「こんにちは、A。それに他の方々も」
「ひっ、ジェイドせんぱ……」
「やべっ、ユウ、逃げるゾ!」
「え、ちょっと、グリム!」
グリムがユウの事を引っ張っていったせいで、二人が抜け出していってしまった。
残るは私とエーデュースだけ。二人も相変わらず怖がっているけど。
「お気になさらず。僕の用事はAなので」
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時