37-真夏の勝負 ページ38
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もう16歳にもなって外でこんなに泣いてしまった。
涙で前が良く見えない。
行く宛もなくひたすらフロイド先輩から離れようと走っていた。
その時曲がり角でどん、と誰かとぶつかる。
「っ、すみませ、」
「いえ、……Aさん？」
何度も耳慣れた安心する声が降ってきた。
見上げるとウェーブのかかった紫混じりの白髪。
そして驚いたように見開かれた暗い貝殻みたいな色の瞳とかち合う。
「アズール先輩……！」
「Aさん、どうされたんですか！？
まさかまたフロイドが……」
「っうう、……アズールせんぱぁい……っ」
「……今度こそ、泣かせましたね。あのウツボ」
ぎこちなくも、アズール先輩の手が私の背中に回った。
ぽんぽん、と不規則に背中を撫でられ、またじんわり涙の膜が張る。
すると足音が近づいてきて、「おや」と別段驚いた様子でもなさそうな落ち着いた声が聞こえた。
「アズールが女性を泣かせているなんて。
明日は波が荒れますね」
「うるさい！ ジェイド！」
「ふふ、冗談です」
「それで、Aさんはどうしたんですか？」
寮の先輩たち二人に泣き顔を見られてしまった。
フロイド先輩にも、だけど。
さっきの事情を話せばアズール先輩は癇癪を起こしそうなくらい青筋を立てていた。
ジェイド先輩も珍しく笑みを剥がして考え込んでいる。
「それで、Aさん。
そのピアスを監督生さんが確かにフロイドにプレゼントしていたんですよね？」
「……う、ハイ……。そうです」
「でしたら、監督生さんに直接聞きに行けばいいのでは？」
「えっ」
「ピアスを贈る程の仲なのかどうか……ご自身の目で確認されたらいかがですか？」
嫌になるくらい眩しいジェイド先輩の笑顔。
だけど、そうだ。ジェイド先輩の言う通り。
いつも私は、ユウちゃんとは仲良くしたいから、なんて緩い理由でずっと我慢していた。
そんなの、誰にとっても良くないに決まってる。
「……先輩、ありがとうございました
アズール先輩も、ご迷惑おかけしました」
「いえ、お気になさらず
フロイドは見かけたら絞めてさしあげますので」
「い、いえ！ ……冗談ですよね？」
ニコニコと有無を言わせない笑みを浮かべていたので、とにかく知らないふりをして私はユウちゃんの元に急いだ。
そして中庭でユウちゃんを見かける。
「＿ユウちゃん」
「Aちゃん……？」
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます！高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました！何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます！ (2021年10月6日 11時) (
レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました！ (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます！そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…！そう言って頂けて感激です！監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします（笑） (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう！ (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ１００さん» 最後までご愛読ありがとうございます！オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…！ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2020年8月3日 1時
