19‐新たな一面 ページ20
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一つは鮮やかな赤。もう一つは涼し気な夏色ブルーのドリンク。
赤のドリンクにはレモン、青のドリンクにはハイビスカスがグラスのふちにあしらわれていて凄くおしゃれで夏らしい。
目をぱちぱちさせていると、アズール先輩がその一つを取って私に差し出してきた。
「新作の思案をしていたんですが、少しまとまったのでこちらは試作です
今回はターゲットを女性に絞ったんです。ですから貴方の貴重な意見をお聞きしたくて」
「女性? ああ、ホリデー中は学園以外からも来客があるから!」
「ええ。これを機に客層も女性を増やしたいんです」
アズール先輩に、「感想をお聞かせ下さい」と促され、おずおずとそのドリンクに口をつけてみる。
なんというか、良く知っている先輩たちだけれど、これだけ背の高い2人に囲んで見られると少しむず痒い気持ちだ。
「いかがですか?」伺うアズール先輩の質問に、喉をごくっと鳴らして答えた。
「……美味しい!」
「…………ふむ」
「えーそうじゃなくてさぁ」
アズール先輩が眼鏡を上げた。隣のフロイド先輩は、緊張が解けたみたいにソファにどかっと座り込む。
見透かすようなアズール先輩の目が痛い。
そんなにみられると気まずい。
「………Aさん。ここにお世辞はいらないんです。
僕たちが望んでいるのはそんな身のない言葉ではなく、貴方が思った改善点です」
「……ええっと、それは……」
「先輩だからと僕たちに遠慮はいりませんよ
僕は完璧でも女性の気持ちは分からない。だから貴方が必要なんです
対価ならいくらでも払いますから」
「そ、そんなのいりませんけど…!」
参った。そんな事言われても美味しいものは美味しいんだもの。
陸の食べ物は全て美味しいし、きっと女の子が好きな味だ。
_でも先輩たちはそれじゃ満足しない。
でも、陸で生活を始めて数年、私はこの3人よりも、陸に居る時間は長い。
「……えっと、じゃあ…良いですか?」
「ええ」
「少し甘さが足りないと思いました。陸の女の子は、甘くて可愛い飲み物が好きなんです
それから、今はマジカメ映えするようなインパクトのある見た目が人気です」
「インパクト……ですか?」
「例えばどんなのがあんの?」
ここ数年で培った人間の女の子の知識を最大限に思い起こす。
まさかこんな形で約に立てるとは思ってもみなかった。
だけど、彼らの真剣に悩む姿を見られて、私今凄く楽しい。
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時