コート場の帝王 ７【○○○！！】

帝王 261 ページ44

それでも空中戦なら中島の方が上


咄嗟に避けた日向の腕に当て、ボールはコートの外へと落ちていく



…はずだった、






縁下「ふぐッ、！(ボッ」


「｢縁下ナイス！！｣｣






後衛の縁下がその場で跳び、片腕でボールを繋げたのだ


それは綺麗なアーチを描いて影山の頭上に戻り、“良いジャンプ”をする為に日向が助走距離を確保する



そして勢いよく飛び出すと、キュッとシューズを鳴らして大きく飛んだ






日向「ふんっ！(ドパッ」

川渡「クッ、」





日向・影山の十八番、神業速攻


なんとか川渡が反応するも、彼の腕にボールは弾かれコート後方へと逸れていく



それを落とすものかと選手達は追いかけ、滑り込みながら必死に腕を伸ばす




まるでスローモーションだった




トンッと青と黄色のボールが軽やかに跳ねる







「(ピッ、ピピーーーッ！！)」








その甲高い笛の音は試合終了の音





烏野「「ッシャァアア！！」」





勝者：烏野高校










・










「「ありがとうございました！」」







“どちらかが勝てば どちらかが負ける”




それが勝負の世界



勝者は更に上へと進み、敗者はその日に消える


しかし負けたからといって全てが終わる訳では無い



次に繋が(・)る、次に繋げ(・)る





『…』


中島「ほらっ泣くな泣くな！」





勝者である烏野は次の対戦相手を見る為に颯爽とコートから去っていく


しかし黒髪の美青年はその場に立ち止まり何処かをじっと見つめていた





縁下「？A行くぞ」






その様子を、彼を待っていた縁下は不思議そうに声をかける


視線の先には先程の試合で苦戦を強いられた中島の姿


泣き崩れるチームメイトの肩を支え、応援してくれた人達に感謝を伝えている





『…おう』





サラリと艶やかな黒髪を靡かせ、踵を返したAは待っていた縁下の隣に並んだ


そして1度も振り返ることなく仲間の元へと向かった







・







田中｢大地さ〜ん！(泣｣

菅原｢おまっ大地！怪我は大丈夫なのかよ！？｣

澤村｢マジで大丈夫だよ、Aの父さんのおかげで思ってたより早く復帰できる｣





だから次の試合では人一倍働くよ


そう言った澤村に烏野の士気がワッと上がった




和久谷南との試合中、田中と接触し歯を折る程の怪我をしたキャプテン


しかし、息子であるAの応援に来ていた医者の優一が処置をした事で、大事には至らなかった様だ

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