14話 ページ15
冠城に連れられ訪れた店は静かでオシャレなカウンター式のバーだった。
冠「何頼む？」
「じゃあ……冠城さんのおすすめで」
冠「え」
冠城は少し驚いた表情をした後、スコッチの氷無しを2つ頼んだ。
「それじゃ、お疲れ様でした……乾杯」
冠「乾杯」
冠城は色っぽい笑みを浮かべながらコップを掲げた。
「冠城さん、なんで私を飲みに誘ったんですか？」
黒井が気になっていたことを話すと、冠城は微笑んだ。
冠「黒井ちゃんのこと、もっと知りたいなーって思って」
「はあ……」
黒井は疑問を引きずりながらも笑顔で返した。
冠「黒井ちゃんの好きな食べ物とか、好きな男のタイプとか」
冠「知りたいなーって」
黒井は冠城に少しばかりの警戒心があったが、これはもしや誘われているのではと違う警戒心が出てきた。
「好きな食べ物……？なんだと思います？」
黒井が逆に問うと冠城は真剣な顔で悩み始めた。
冠「えっ？うーん……」
冠「果物？」
「はい」
冠「じゃあ……りんご！」
「違います」
冠「ええ？じゃあ……桃？」
「それも違います」
冠「じゃあ何が好きなの？」
「みかんです」
冠「みかん？」
「ええ、みかんです」
冠城のキョトンとした顔に黒井は思わず失笑してしまった。
冠「ちょっ何でそんな笑うの」
そんな冠城も破顔している。
「いや……そんな顔するなんて思わなくて」
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作者名：Rei | 作成日時：2023年10月22日 14時
