【相棒】警察庁からのスパイに恋を (ページ2)

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1話ページ2

警察庁の廊下を思案顔で歩く小柄だが大人びた雰囲気を醸す女性がいた。彼女は警察庁の交通局企画課の黒井Aだ。

警察庁の官僚達に呼ばれて会議室に赴いたが内容は知らされていない。

まず上の人間から呼ばれるような事をやって無いし、やった覚えもない。なのに呼ばれたことに少なからず不信感を抱いていた。

会議室の前に着き、ドアをノックするが返事はない。

思い切ってドアを開けてみると中には誰も居らずだだっ広い会議室の机の上にポツンと一つ資料が置いてあった。

これを読んで待てということだろうか。黒井は会議室の中に入ると椅子に座ってその資料を読み始めた。

資料には特命係が解決した事件のざっとした内容が載っていた。そして最後のページには「黒井A警視を警視庁の部署(未定)に送り、庁内Sとして特命係の動向を報告すること」と書いてあった。     

「ふう……」     

資料を読み終わり黒井は大きなため息を吐いた。庁内Sなんて存在すら知らない人間の方が多い。ましてやなぜ警視庁とはなんの関係の無い交通局の私が選ばれたのか理解出来なかった。    
  

ガチャ    

「おっ」      

ドアが開く音がして、官僚達が入ってきた。黒井は慌てて立ち上がり、会釈をする。      

官僚達は黒井を座らせると早速話を始めた。

    
 官僚「どうだい？読んだ感想は」

黒井は少し考えると得意の本意を見せない笑みで答えた。

      
 
「とても面白いかと」

その答えを聞き1人が満足そうに頷くと

官僚「じゃあ行きたい部署を決めてもらえるか。どこに行かせようか我々も迷っていてね、どこでも行きたい所を言ってくれ。ああ、だが特命係は無しだぞ。前の神戸のようにさせたくないからな」

黒井が考える。そしてゆっくりと口を開いた。

「私は……」

プルルル

タイミング悪く携帯が鳴る。黒井は許可を得てから会議室の外に出て電話に出た。

？『やあ』

黒井は息を飲んだ。相手が衣笠副総監だったからだ。