3.サイコパスは恋がしたい。 ページ4
本日は雨天なり。
落ちてくる雨の粒が、私のマイハウス(ダンボール)を破壊しつつある。
「・・さん、お姉さん！」
A「・・・・・ぁ、え、何？私？」
ぼんやりと雨を見ていると、声をかけられていたのに気付かなかった。
というか、相手は小学生じゃないか。
「お姉さん、お家ないの？」
A「うん、無いの・・焼けちゃったんだ」
「『やけちゃった』？・・火事？」
A「ん〜、恐いよー、火事は」
「そうなんだ、私も・・お家、無いんだよ」
A「へー？」
まだ若いのに、苦労してるじゃないか。
見たところ、小学3〜4年ってところかな。
A「君は、何でお家ないの？」
小学生に『君』を使うのも不自然だが、子供と話す機会がないもので、話し方もよく分からない。
「・・・・・追い出され、ちゃった」
A「・・・・誰に？」
「偽者の、お母さん」
『偽者』・・ということはつまり、『義理の母親』ということだろうか。
A「君・・あのさ、名前は？」
「私、は」
ーーー
A「・・あ〜・・・」
謎の少女が名前を言うところで、目が覚めた。
今は2時くらいだろうか。
当然人通りも少ないし、静かな夜だ。
A「ん・・？」
何となく目を擦ると、少し腫れているような気がした。
泣いたのだろうか。
A「この歳でまさか・・あの夢？」
とっくに根無し草の私は、もう泣く理由すら無い。
A「・・・・・・ぁ〜あ〜・・」
容赦のない夜風が、私の涙を伝わせていく。
何も悲しくない、何も悲しくない。
「 」
A「・・・・ぇ、」
何者かに突然、抱きしめられる。
姿も見えない真夜中に、突然、誰かが。
A「・・・。」
それでも私は、何者かの袖にすがりついた。
A「・・お兄さんでしょ？」
カ「おっと、バレたか」
A「なーに？また私に会いたくなっちゃった？」
彼の姿を見て言葉を発するたびに、雫が溢れてくる。
カ「・・ああ、もちろんだ」
次第に何も話せなくなって、私の表情が見えているのかいないのか。
A「・・・お兄さん、何も喋らないでね？」
カ「？・・何で、」
A「お兄さん、絶対に私が泣いちゃうこと言うんだもん」
もう泣いてるんだけど。
カ「ああ」
それでも彼は、暗黙の了解と言うように私を抱きしめた。
ーーー
朝、お兄さんの寝相で私のマイハウスが全壊していたため、お兄さんを全壊した。
4.サイコパスが酔ったようです。→←2.サイコパスは女子力(物理)MAX。
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作者名：アルト。 | 作成日時：2015年11月22日 13時
