『元』 地味女の逆襲２

逆襲50 ページ6

「念のため訊いとくけどよ…お前ら勉強はどうだ?」

「………」



先ほどまでの小洒落た雰囲気に、ほんのわずかではあるが、ピシッ…とヒビが入った…気がした。
なんの話かは容易に見当がつく。
そう、あと2週間と少しでテスト期間なのだ。

私はプリント見返したり英単語を復習したりなどぼちぼちテスト勉強を進めてるけど…

ちらり、と和くんを尻目に見る。
表情こそ笑顔なものの、明らかに焦ってるのがバレバレな和くんからは、勉強してないどころかテスト期間が近づいてることすら初耳というのが判然としていた。

けど、宮地さんは何も追求せず、フッと微笑んで言う。



「まぁ…だいたいの科目は気合いでなんとかならなくもねぇが…

少なくとも単位落として『塔に閉じ込められし傍観者』にならねぇようにしろよ」



「塔に閉じ込められし傍観者」?

それと高尾…と付け足し、宮地さんは再び私達を振り返る。



「今はやりたいことが見つからなくても、遅かれ早かれ見つかる日がいつか必ず来る。

自分が本当にやりたいことを見つかるまで探し続けるのも立派な努力のうちだからな」

「‼」

「はい‼」



やっぱり努力家な人は考え方も違うなぁ、と宮地さんや笑顔で返事をする和くんを見てただただ感心する。

宮地さんは和くんに向けて言ったんだろうけど、その言葉は力強くも優しく、私にも向けられたように感じた。


それにしても、宮地さんの「塔に閉じ込められし傍観者」という言葉はどういう意味なんだろう?


それがキセキ達への復讐の扉を開く鍵となることを知るのはもう少し先の話………

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