『元』 地味女の逆襲２

逆襲48 ページ4

なんとまあ粒ぞろいのメンツだ。キセキが全員勢ぞろいしてないとはいえ、性格といい嗜好といい…つまりほぼ全員癖が強い。その中で常識人と言えるのは私やテツヤくん、和くんくらいだろう。
(自分で言うのもなんだが)

私がちょっとした自己満足に浸っている矢先、和くんが若干渋るような口調で話を切り出した。



「プリント見た? 俺達が行く企業、どれも有名なやつばっかだぜ? 講義とかも全部英語なんだろ? 企業のお偉いさんと話したりなんかできねぇって… 」

「そうかな? 外資系企業なんてなかなか行けないから絶対良い勉強になるよ‼ 将来は海外で働くことも考えてるからね!」

「うわAちゃん真面目ー! 俺英語全然話せないからさー、むこうに着いた瞬間…下手すりゃ出発前からホームシックになりそう」


「Aちゃんなら余裕だろ」と言う和くんに、「いやいやそんなことないって」と、両手を身体の前で振りながら全力で否定する。


「中学のとき、オーストラリアで1週間くらいホームステイしたの。本を見るとわかる単語でも、実際の会話では全然聞き取れなかったなんてこともあったんだから。」


信じられないかもしれないけど、TOEIC800〜900点代でもいざ実践の場となると全く話せないなんて人もザラにいる。
現地に降り立ったときにコミュニケーションで苦労するなんてことは私にも大いに該当するのだ。

すると、宮地さんが途中で「でもよー」と口をはさむ。



「お前らのクラスメートで元誠凛バスケ部の火神大我ってやついるじゃん。そいつ帰国子女でアメリカにいたんだろ？そいつならむこうでも問題ないんじゃねぇか？」

「大我は帰国子女枠で入ったから別格ですよ。英会話で困ったら彼にお任せって感じです」

「わーそうだった‼ 心強い仲間が2人もいるじゃん‼ ってわけで…英会話はAちゃんと火神にお任せな☆」



(だから私じゃ無理だって…っていうか自分でも勉強しないと…)



飄然と開き直る和くんに、私は心の中で静かに溜息をついた。

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