『元』 地味女の逆襲２

逆襲56 ページ12

地下鉄に揺られること数分。Aの最寄り駅に到着した一同はAを先頭に彼女の自宅へ向かっている。

先ほどの遠慮心や気まずさはいずこやら、A以外の3人はこれから始まる勉強会に胸を躍らせていた。


本来はテスト対策のために開かれた勉強会なのだから、クラスメートを何人か追加してもおかしくないだろう。

しかし、勉強会など彼らにとっては単なる名目にすぎない。

彼らはあえて他にクラスメートを招待しなかったーーーー

いや、できなかったのだ。

理由はただ1つ。Aを恋人として手に入れるため。



学年中どころか他学年にまで吹聴されているAの美貌。

それでいて恋人がいないのだから、Aの恋人枠を狙う輩が後を絶たず、競争率はますます激しさを増している。


無論、黄瀬達もその内の1人だ。


美人で学年首位とAが才色兼備であることもそうだが、大学中で美男子と讃えられる彼らを含めたバスケ部一同にでさえも微塵の興味を示さないAは、彼らにとっては言わば高嶺の花のような存在。そんな彼女と同じ空間で一夜を過ごすとなれば、この勉強会は彼女を手に入れるための絶好の機会。


目的のためなら邪魔者は極力寄せ付けたくない、というのが彼らの本心なのだ。



もしかしたら夕飯はAの手料理?

試験で高得点を取り、なおかつインカレでの活躍を認られればAの恋人枠を略奪できる?


なんと身の程知らずな考えだろう。

叶うはずのない欲望ばかりが、彼らの脳内で渦巻いては消えていく。

それでも、Aの恋人になるためなら手段を選ばないーーーというわけでもないが、それだけ勉強会に強く希望を感じているのだ。



「ほら、着いたわよ」



あれよあれよとくだらない妄想をしている内に、いつの間にか目的地に到着したようだ。



まさかこの勉強会が過去の業より来たる惨劇への道しるべとなるなど、彼らには知る由もない。




このときから………



いやーーー、Aが勉強会を提案した時点で彼らは徐々に彼女が仕組んだ復讐計画の術中に陥っていたのであるーーーーーーーー。

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