逆襲55 ページ11
「悪い! 遅れた」
忙しなく聞こえた足音と同時に目に入った青い髪。
ようやく青峰が合流した。
「峰ちん遅い‼ テスト対策の勉強会前に本屋で立ち読みとかありえねーんだけど…」
「いやマジで悪かったって…時間間違えたんだよ…」
「触らぬ神に祟りなし」という諺がよぎったのか、黄瀬は携帯電話を操作して高みの見物を決め込んでいる。
だが、Aの場合は少々異なる。
間逆ではない。少々だ。(重要なことなので2回)
高みの見物を決め込んでいることは黄瀬と同じなのだがーーーー、なぜか彼女は2人の口喧嘩を、さも愉快そうに眺めていた。
履修科目の試験が明日に迫っている、しかも範囲さえ曖昧なこの切羽詰まった状況に少しでも追い風を呼び込むための勉強会に遅刻してくる大馬鹿者を叱咤するのは至極当然の極みである。
ここで重要なのが、青峰に説教を食らわす紫原自身も自由人であることだ。
ほぼ常に、授業中や試合前でさえお菓子を食べていることがあるのだから彼も青峰同様、自由奔放主義であることは間違いない。
試験への情熱はどこから来たのか、彼が時間通りに集合して遅刻した青峰に怒りをぶつけたことがAにとって笑わずにはいられない光景だった。
(笑うと紫原の怒りを逆撫でするため実際は堪えている)
しかし、そうしてる間に時間はどんどん過ぎていく。初めは楽しんでいたものの、予想以上に長引く喧嘩に危機を感じたAが仲裁に入った。
「ちょっと2人とも。喧嘩はやめて私の家に行こう? ただでさえ切羽詰まってるのに、このままじゃ最悪ノータッチで試験受けることになるわ」
Aの言葉で目が覚めたのか、一斉に口をつぐむ2人。
Aは怒ってないが、自分達のせいで勉強時間を削ってしまったことへの罪悪感が2人の中に漂っていた。
「お前らマジですまねぇ…今度からLINEちゃんと見るから…」
気まずそうに謝罪する青峰に、私は笑顔で答える。
「大丈夫だよ。間違いは誰にでもあるから気にしないで。紫原くん達も、もう許してあげよう?ね?」
「俺こそごめん…じゃあAちんの家行こう」
「うん! 黄瀬くんー! もう行くよー‼」
遠くで音楽を聴いている黄瀬を呼び戻す。
無事に喧嘩が収束したところで、一同はようやく正門を後にした。
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チャングム(プロフ) - イゾウRAVUさん» コメントありがとうございます!私生活が忙しくて更新が遅いですが必ず完結させますので温かく見守ってくださると幸いです。 (2018年11月15日 18時) (レス) id: 116cb13da5 (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます! (2018年11月15日 17時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
チャングム(プロフ) - 雪華たんさん» コメントありがとうございます!昔したことを忘れてまんまと告白してきた態度にイラついて正体をバラしたくなるなんてこともありますよね笑笑 けど水原さんはあえて正体をバラさずに、じわじわと攻撃をしかけるつもりみたいですよ?笑 (2018年10月4日 22時) (レス) id: 116cb13da5 (このIDを非表示/違反報告)
雪華たん - 私だったら、告白された瞬間にばらしちゃうよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww (2018年10月4日 22時) (レス) id: b92e418be9 (このIDを非表示/違反報告)
チャングム(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» 実はね、前のパスワードかけたやつを一度削除して再公開って感じなんだ2章は!話数が少ないのはリメイク中だからでちょくちょく更新していくし、完結までは必ず書くから安心してね!コメントありがとう! (2018年7月23日 0時) (レス) id: 116cb13da5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チャングム | 作成日時:2018年6月16日 16時