歪情 (ページ44)

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再会 - Juri side ページ44

2009年7月2日＿＿＿

「行ってきます、博美さん。」

朝、きょものママに玄関まで見送られた。
ここで暮らしてからは、彼女のことは名前で呼んでいた。

今日は東京遠足。
電車に乗って各所を転々と回っていく。

「田中ー、早く行こうぜ！」

jr「あぁ……ごめん、今行くから。」

校外学習が終わり、地元へ帰るのに班のメンバーが遠足のしおりでバスの時刻表を確認していた。
ベンチに座って参考書を読んでいると、同じ班の子が俺を呼んだ。

別に勉強が好きな訳では無い。
むしろ、そこまで得意では無かった。

でも、きょもの家族にはあまり迷惑をかけたくない。
中学校を卒業したら遠くの高校に通って一人で暮らしていくつもりだ。
あくまで、まだ何となくしか考えてはいないが、今のうちから勉強はしておいて損は無いだろう。

「田中、遠足くらい勉強なんか忘れた方が良いぜ。」

jr「……まぁね。」

「俺なんてこないだ赤点とって母ちゃんにこっぴどく叱られちまったぜ！」

アハハっと笑う彼と、つられてニヤニヤする同じ班のメンバー達。

良いよな、何の不安も無くて。
両親がちゃんと揃っていて、親戚から酷いことされたり、そういうことが無く、のびのびと生きてこられて。
それに……。

…………こんなこと、考えるだけ時間の無駄か。

「あ、バス来た！」

歩いて5分程でバス停に着くと、ちょうど俺達が乗る予定のバスがこちらに向かってくるのが見えた。

リュックからICカードを取り出そうとしたその時、

jr「……えっ……？」

道路を挟んで向かい側のお店から、人が出てきた。

……ない。
そんなこと、ありえないはずなのに……。

jr「ジェ、シ……？」