歪情 (ページ29)

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3 - Hokuto side ページ29

sn「へぇー、なるほどね。」

俺の話を聞き終えた慎太郎はお茶を飲みながらうんうんと頷いた。

hk「やっぱりその2人怪しいと思わない？」

sn「あー、例の子供達ね。」

hk「叔父が亡くなったのに平然としている甥と、その甥と同様の態度をとっていた甥の友人。違和感無い？」

第三者の意見も参考になるかもしれない。
彼の些細な一言からまだ真相が見えていない事故と彼等の関わりが見えてくる可能性もある。

sn「……事故とは関係無いと思うよ。」

hk「……へ？」

予想外の一言に思わず声が出てしまった。
今の俺の話を聞いて彼等が事故とは関係が無いだなんて、一体どういうことだろうか。

sn「あのね、君達は髙地さんの父親が遺した物に頼り過ぎ。」

hk「えっ？」

sn「大体、態度が歳相応じゃないとかそんなの参考にならないでしょ。髙地さんの父親にはそう見えただけであって、そもそも態度なんて主観的で判断材料にはならない。」

彼にしてはまともなことを言っていてドキッとする。
確かに態度だけで彼等が事件に関わっていると判断するのは安直過ぎる。
大人びた態度というのも髙地さんの父親が遺したものから拾い上げただけであって、俺達が実際に会ってそう感じた訳では無い。

sn「北斗は真面目だからつい何でも信じて従っちゃうけど、その上司の推理も遺されたものもやたらに信じ込まない方が良いよ？」

確かに髙地さんの話を聞いているうちに、何となく彼等に裏があると思い込んでしまっていたのかもしれない。
しかし、彼の言葉にも何処か棘を感じてモヤモヤしてしまう。

hk「でも、当時捜査をしていた人が遺した情報って貴重だし頼って良いものだと思うけど？」

sn「もちろんそうだけど、でも完全に頼りきっちゃ駄目だよ。だってその父親だってそこまで情報持っていたし彼等と実際対面していたけど、この件は解決出来なかったんだから。」

「推理が違っている可能性だってあるじゃない」と言う慎太郎。
先程から彼にまともなことを言われ過ぎて耳が痛い。

うぅ……分かってるんだけど、でも、でもさぁ……。
刑事の勘ってのもあるじゃない……ねぇ……。

やっぱりこの件はただの事故なのかな？
それとも全く捜査線に浮上していない人による他殺？

もうよく分からないよ……。