歪情 (ページ21)

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謝罪 - Hokuto side ページ21

hk「昨晩は申し訳ありませんでした。」

出勤して真っ先に課長室へと向かい、中にいた髙地さんに向かって頭を下げた。

昨晩、俺は髙地さんのお誘いで居酒屋に行った。
お酒はそれなりに飲めるが、特別強い訳でも無かったので今回は控えようと思っていた。
しかし、上司である髙地さんに勧められ、流石に礼儀として断れないと判断した俺は生ビールを3杯程頼み、ほぼほぼ一気飲みした。

それから先の記憶は無い。
2杯目を飲み干したのが最後の記憶だ。
目が覚めたら自宅のベッドの上にいて、同居している親友の慎太郎から事情を聞いて青ざめた。
どうやら俺は髙地さんに自宅まで介抱して貰ったらしい。
昨日初めてお会いしたばかりで、しかも俺は部下なのに迷惑をかけて本当に申し訳なく思う。

yg「いや、ノリで勧めちゃった俺が悪かったよ、ごめんね。」

hk「いや、判断したのは俺なので……。」

yg「そもそも連れてきちゃったのも俺だし、申し訳ない。」

確かに半ば強引に連れていかれた感は否めないが、断れなかった俺も俺だ。
それに俺を担いでタクシーで自宅まで来て頂いて、本当に迷惑をかけてしまった。

yg「迷惑かけた、なんて自分を責めないでね？」

hk「相変わらず図星ですね……。」

yg「一般的な部下の心情かなと……体調は大丈夫？」

hk「うーん……少し頭が重いですけど仕事には差し支えないんで。」

本当はまだ若干の吐き気が、と言いたい所だが、もちろんそれは心の中に抑え込んでおく。

yg「よし、じゃあ今日は外まわりじゃなくてここにある資料を読み漁ろう！」

背後にある本棚を指さしてにっこりと笑う髙地さん。

あぁ、これ気遣わせてるな……。
外まわりの予定だったかもしれないのに申し訳ない。

でも、本調子じゃないしお言葉に甘えさせて貰うか。

hk「すみませんが今日はそうさせて貰います……。」

yg「うんうんそれが安心、それに昨日読みたがってたもんね。」

hk「えぇ、早く色々知りたくて。」

yg「良いね、実は俺もまだ全部は読み切れてないんだよね。」

髙地さんが「量が多過ぎてね」と苦笑いし、本棚からいくつかのファイルを取り出した。

yg「どれからが良いかなぁー。」

彼はテーブルにドサッと積むように置き、上にあるファイルを手に取り、パラパラと開いて中身を確認した。

yg「うん、まずはこれからかな。」