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高校に入学してから一か月余りが経ち、現在5月の初め。
春と初夏の間のような温かい日差しが降り注ぐ今日は、日曜日ということもあり絶好のお出かけ日和だ。
まだ一緒に出掛けるような親しい友達がいない私は、ひとりで電車に揺られていた。
ふわりと風になびくワンピースに、艶めくラメが散らしてあるを瞼。桜のような淡い血色をまとった唇。誰が見ても、どこから見ても、かわいらしい可憐な少女だ
今日のビジュアルは絶好調だと自分でも思う。
駅で電車を待っていたら、いかにもという感じのお兄さんに声をかけられたし。
スマホを確認しても、通知がなにもない。
特にすることのない私は、窓から見える景色をぼーっと眺めていた。
青、青、灰、青、灰、灰。
代わりばえのない空と、似たようなビル。
いつもと何が違うかと聞かれれば、この時間帯に電車に乗る人の多さ位だ。
「次は新宿、新宿。お出口は左側です。中央線、湘南__」
景色に考えを巡らせていると、目的地に着いたみたいだ。
電車から降りようとドアの前に立ったときだった。
本当になんとなく、なんとなくそばにいた男性と目が合った。偶然というやつ。
すぐに目はそらされたけど、なんとなく、そのあとも気になっていた。
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作者名:あわ | 作成日時:2024年3月1日 3時