依存症。【名前変換オリジナル】

現実編、3 ページ18

Airi side

「君ー、ちょっと良い？」

うたたねしていた時、肩を強く掴まれた。

目の前にいたのは、カメラ持った誰か。


名前も知らない、偽善のヒーロー(オトナ)だった。

「もう補導時間だけど、君何歳？」

「･･･15。義務教育は受けたよ、一応ね。」

そういえばクロネコちゃん達は17･･･だっけ？
や、みーもふちゃんだけ12か。

「まだ未成年じゃん、親は？」

「知らねーよ、居酒屋にでも行ってんじゃねーの？
それよりお前誰だよ、カメラ持ってさぁ。」

ソイツの目を睨みつける。

「俺はレイ、YouTuberだよ。桂木町で、清掃活動とかしてんの。」

「あーはいはい、つまり偽善者ね。
そーゆーの興味ないからさっさと帰れ。」

･･･馬鹿しかいない桂木町で、アンタの言うこと聞く奴が居るわけないじゃん。

「それより手に持ってる缶、お酒じゃない？」

素直に頷くと、酒缶を取り上げられた。

「何すんだよ。」

「逆に何酒飲んでんだよ。」

「うるせーなぁ。･･･ほっとけよ！」


不意に、漠然とした恐怖に襲われる。

「え、なんで泣いて･･･。」

「うるさいっつってんだろ馬鹿が！
お前なんか･･･オトナなんかﾀﾋんじまえよ！」

そいつを突き飛ばして、私は町から逃げる。
道端に転がった缶の音がやけにはっきり聞こえた。

「ちょっ、待てよ！あー、行っちゃった･･･。」

遠くで、“あたし”を呼び止める声がした。
その声は町の喧騒に飲み込まれていく。

冷たくて、うるさくて、人だらけの町。


「･･･ただい、ま･･･?」

私の小さい声は、居間で戯れ合う家族には届かない。

「･･･藍莉、帰ってきたなら早く洗濯しなさい。」

「うん、分かった。じゃあ、ね。」


家族になんて興味ないお父さん。
あたしじゃなくて妹と弟だけ溺愛するお母さん。

「大変だねぇお姉ちゃん！」

あたしを嘲笑う声。

あたしが普段どこにいるか知らないくせに、
何が『お姉ちゃん』だよ･･･！

小さい頃はあたしも“あいちゃん”って呼んでもらえたのに。

･･･はぁ。

「もう、一生このままで良いか。」

全部。全部全部全部嘘のあたし。


ネットでみんなのお姉ちゃんしてる“私”も、
　桂木町で強がりしてる“あたし”も、
　家族に必死に尽くそうとしてる“あい、り”も。

「･･･嘘つき、か。」

＊＊＊
Airiの両親はネグレストなのです。
そして若干Airiは多重人格状態です。


　

現実編、4→←現実編、2

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す