ラバーソウル！ (ページ23)

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2つ目ページ23

「引っかかったな、新」

閉じられた窓に手をかけたら、やっぱり鍵が開いてた。
何か聞かれたくない話しするとき絶対、先生、ここの窓閉めんねん。

鍵のかけ忘れって、やっぱり、おじいちゃんやん、中目先生ボケてきてんのか？

ふふって笑いがこみ上げて、

よっこいしょ

腕に少し力を入れて、入り慣れた窓枠に足をかける。

「お前捕まえるの、ねずみより簡単やわ」

あ、

思わず声を出して左側を向くと

俺が開けた窓のせいで、ヒラヒラ舞出したカーテンに隠れて、綺麗な湯呑みで梅昆布茶飲んでる中目先生が笑ってた。

「俺、紅茶で」

ピョンと枠から飛び降りて、先生にリクエストしたら、お前は俺と一緒の梅昆布茶でええねん。って、又紅茶入れて貰えへんかった。

俺もあの、花柄の綺麗なやつで飲んでみたいわ、そう、恨めしげにみてたら、

「中目先生、いますか？」

と、ガラッとドアを開けて、体育の吉川が入ってきた。

「ヤバっ」

カーテンを捲ってベッド側に隠れたけど、俺、別にヤバいことしてへんやん。

隠れる必要なかったやん。

そう思ったけど。

「吉川先生、どうしたんですか？」

お紅茶飲みます？と上品に声を出す中目先生に、思わず、プッと笑ったら、少し強めに、机に湯呑みが置かれた音がした。

「いや、今日は手短に‥こないだのお返事を聞きにきまして‥」

少し、改まって、使い慣れてない敬語に、又笑いそうになったら、あ、そうでしたね、と中目先生が、動いたからカーテンが少し揺れた。

「もう一度、言わせてください。俺と付き合ってもらえませんか？」

あ、と中目先生の声がして、なんや？と思ってカーテンの隙間から覗いたら、吉川に抱きしめられていた。

何してんねん、吉川、手を握るまではまだええけど、返事聞く前に、抱きしめるのはないやろ？

イライラしてたら、ちらっと中目先生と目があった。

ああ、とか、ええっととか、いつもの先生から、想像つかん動揺がみて取れて。

思わず、カーテン、ガーッッッと開けて、

「俺、おるんすけど、」って不機嫌丸出しで、吉川睨みつけたら、

「野中、いてたんか、すまん」

と、アタフタして出て行ってしまった。

「あれ？野中君、おったん？」

さっきまで抱きしめられてたくせに、何もなかったように、又俺の前ではふざけてる。

なんなん、それ？

俺にも敬語つかえよ。

俺にも特別扱いせぇよ。

わけのわからんイライラが、身体中を駆け巡った。