イブラブ！！ (ページ25)

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駅前の大通りをぷらぷら歩き出してんけど、ビヨンセ‥もうややこしいから、森ちゃんって呼ぶけど、森ちゃんが今日のイベントのせいでめっちゃ大荷物なんに気づいた。

「そのトランク何入ってるん？」

重そうやけど、大事そうに抱えたトランクに目を落としたら、

「あー、これ‥今日、着ていった服と小道具と‥えっと」

ってむにゃむにゃ言ってるから、持ったろか？って手を出したら、ええよ、重たいしってグイッと身体を反対に向けられた。

っていうか、俺から見えへん方の腕になんやピンクとか赤の可愛い紙袋持ってるやん。

「森ちゃんそれ何？」

って聞いて、何気に紙袋の紐引っ張ったら、あっ！って森ちゃんがトランクを落としてしまった。

「ごめん！森ちゃん！」

「いや、俺が拾うからええよ」

そういって、屈んだ森ちゃんの、腕にかかっていた紙袋から数個何か物が落ちる。

「なんやこれ？」

こ、

こ、

これはあの、男にとっては1年で1番悲惨な(俺からしたら)日。そう、バレンタインデーのチョコやないか！！！

１つ手に持ってプルプルしていると、ばっと取り上げられた。

「いや、全部義理チョコやで。ほら、チャイルドダンスの生徒さんのお母さんも来てたし、いつものお礼みたいなもんや。」

そう言って森ちゃんは何か焦ってる。

ははははって笑ってるけど１つも感情こもってない。

あぁ、これ見たことあるわ。

学生の時、友達と組んでたモテへんブラザーズの片割れが実はアルバイト先で結構モテてておんなじ顔して、義理やで！義理チョコやで！っていってたわ、ほんまあん時とデジャヴ。

「へー、ソレデナンコモラッタン？」

って、22年間生きて来た中で1番楽しそうに聞いてみたら、

「‥21個‥やったかな？いや、20個しかなかったかもしれんっ！」って気持ち少なめに言うても、俺の虚しさはかわらんからな、おいコラ、ビヨンセ。

「元は？元は貰わんかったん？今日会社やったんやろ？」

「え？あー、あったわ、そういえば」

よかったやん！そう言って苦笑いしてる森ちゃんに、

「俺の隣のデスクのやつ(優人)の机の上に、ヤマホドオイテアッタナー」

って、瞬きせんまま言ってやった。