短編集【3つの声をばらまいた】

きゅうつまみ ページ9

冷たい頬

冷たい手

冷たい心

どれも私のもの


冷たい頬

冷たい手

暖かい心

どれも貴方のもの


ひら、ひらと雪が降る

じわり、じわりと染み込んでいく

触れたら解ける、触れずとも解ける

何もしなくても、全て解ける

まるで、私たちみたいね

何にもしないから、こうなったとも言えるけど

「な、本当に行くのか」


情けない声

情けない顔

暖かい心

変わらない貴方


「えぇ、行くわよ」


毅然とした声

毅然とした顔

情けない心

揺れ動く私


情けないのはどっちかしら、なんて笑いながら

船笛が聞こえる

さよなら、最愛の人

私以外の誰かと、幸せになってね

さよなら、さよなら

引き止める手を、振り払う

引き止めた手は、誰のものだっけか

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淡雪/手を振り払う/桟橋

大人な別れって難しい。
でも書きたい欲は抑えられないんです。

誰かのために自分の気持ちを抑え込んだ女の人の話。
本当は自分に自信の無い女の人の話。

次回！
「かっこつけたのが恥ずかしい」
「結婚式場を探そう」
の2本でお送りします！(続きません)

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