来訪 ページ7
秋風もみじは{ヒナギク}の廊下を歩いていた。足音はなく、ただ静かに気配もなく、いかにもスパイらしく歩いていく。
ああ素晴らしいスパイなんだな、と手練れならばすぐにわかるだろう。
だが、もみじの表情はスパイらしい、とは言えないほどにしかめられていた。
原因はもちろん、先ほどのりんからの頼みである。
素早く移動していたもみじは、ふいに周りを見渡すと、「はぁああぁ…」とため息をついて壁に立ったままもたれかかった。
普段は体幹が鈍るので意識的にやらないようにしている動作だが、今日ばかりはそうもいかない。
(厄介な用事、押し付けてくれちゃって…)
もみじは先ほどの、悩みの種となった会話を思い出していた。
回想スタート。
「もみじ。もし、あたしたちがこれから迎える花夢里家の長女が、翠と相性が悪かったなら…なるまで、面倒を見てやってくれないか。」
その言葉に、もみじは絶句する。
りんが、あの人の機微に鈍感すぎるほど鈍感な室長が、誰かを気にかけている。それも、たった数回あったことがあるだけの、{誰か}を。
「もっといえば、一流のスパイになれるほどの特訓もしてやってほしい。翠はそうしないと、きっと納得しないだろうから」
もみじは己のリーダーである室長のことをそこそこ尊敬していた。
あの、{地獄}から解放してくれたことにも感謝しているし、そのあと日の当たるとまではいかなくても、このような正当な組織につけたのは運がいい。
だから、
「了解」
断る理由など、なかったけれど。
それでも無茶振りがすぎることに、変わりはない気がする。
もみじはしばらくすると、「よしっ」と気合を入れて立ち上がった。ヘアバンドを付け直す。
「……引き受けてしまったものは仕方がない。がんばろう」
そう呟いたもみじは、夜の闇に包まれた『ヒナギク』に背中を溶け込ませていった。
◇◇◇
りん、もみじ、翠。
『ヒナギク』の闇の中で、それぞれの思惑が交差していく。
□■□
作:えー待って本誌やばいじゃん、ガチモンのシリアスじゃん。こんな駄作かいてていいのか?
凶:やることを見極めろ。大体お前のグデグデの文才、それが俺の戦闘の役に立つのか?
作:大変申し訳ありませんでした……次から夢主出ますっ
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沙月かぐや - 沙月かぐやさん» 結局戻ってきました。また更新をガラパゴスカメスピードで始めます。よろしくお願いします (10月28日 18時) (レス) @page47 id: f5040de9d0 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - プロフィールにも書いたとおり、短編集を作りました。まだ何も書いていませんが、よろしければそちらもお願いします。いつも応援、ありがとうございます。 (2022年12月29日 20時) (レス) id: b3854d6ed6 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - さくにょさん» 本当ですか!?まだ裏つくに慣れてなくて、全然そういうことに詳しくないので、教えていただけて本当に嬉しいです!書き直しますね!コメントの件ですが、お気になさらず…いつも本当に力をもらっています、ありがとうございます (2022年12月10日 21時) (レス) id: df27e88f4d (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 最近続けてコメントしてしまっていて・・申し訳ありません💦ただ、かぐやさんが断念された「や」から始まって「つ」で終わるものですが、二つの漢字の間に全角の間を入れると打ち込めるはずです!!是非やってみてください! (2022年12月10日 20時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 沙月かぐやさん» そうなんですね!嬉しいです!是非コメントを((殴 私もいつも楽しませていただいています! (2022年12月7日 22時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙月かぐや | 作成日時:2022年1月16日 16時