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内容を聞いてから、しばらく頭が回らなくなっていた気がする。
言われるがままにヒナギクにかえって、今更ながらため息をついてしまった。
こうやって放心するところも、スパイには向いてないと言われる一因なのだろう。
翠様は淡々とした表情で本部の階段を登っている。
ふと、聞いてみたくなった。
失礼にならないようにしながら、「あの、」と声をかける。
「なんだ」「質問を一つしても、良いでしょうか」
翠様は一つ瞬きをしてから、大きくため息をついた。
「あ、嫌だったらだいじょ「どうして君は、いつも許可をとる？」「え？」
どうして。
考えたこともなかった。どうして。
だまりこくると、はあ、とため息をもう一つ。
「それもわからないのかい」「はい、あの…申し訳ありません」「…そう。それで？」「え？」「質問のだ。続きをいうように。」
はいとつぶやく。
「翠様は、どうして今日、来てくださったのですか」
「命令だ。それ以外にない。君を心配したわけでも、ない。僕は命令があったらそれに従うだけだ。」
即答だった。
「ありがとうございます」「…なにが」「…答えて下さいましたし」「当たり前のことだ」
翠様は淡々とした声でそう言った後、ああ、と小さく声を上げた。
「これ。預かっていたままだった。」「あ…」
クッキー。
そうだ。そもそも、今日出かけたのはそれがメインだったのだった。
しかも、翠様に持たせてしまっているし。
私、何やってるのか。
「なんでこれを買いに行ったかはわからないけ「あの、それ。そのままお持ちください」
は？
あっけにとられた顔に、ああ、やってしまったと思いながら続ける。
「この前の、おわびに…もともと、翠様にお渡ししようと思っていたから」
翠様の瞳が、じんわりと見開く。
一瞬だったけれど、すぐに翠様はふうと息をついた。
「あれは、確かに、キミのスケジュール管理が悪かったけれど、僕は何もしていない。」
「それでも…部屋まで運んでくたさったことが、本当にうれしかったのです。あの時、本当に起き上がれなくなりそうでしたから…だから、受け取って、欲しいです」
「…」
わがままを言った。
叱られるかと思ったけれど、いつまでもその言葉は来ない。
代わりに、袋を持ち直す、カサリという音が聞こえた。
「甘いものは、嫌いじゃない」
耳に届いた言葉は、心なしか優しい気がした。
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沙月かぐや - 沙月かぐやさん» 結局戻ってきました。また更新をガラパゴスカメスピードで始めます。よろしくお願いします (10月28日 18時) (
レス) @page47 id: f5040de9d0 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - プロフィールにも書いたとおり、短編集を作りました。まだ何も書いていませんが、よろしければそちらもお願いします。いつも応援、ありがとうございます。 (2022年12月29日 20時) (レス) id: b3854d6ed6 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - さくにょさん» 本当ですか！？まだ裏つくに慣れてなくて、全然そういうことに詳しくないので、教えていただけて本当に嬉しいです！書き直しますね！コメントの件ですが、お気になさらず…いつも本当に力をもらっています、ありがとうございます (2022年12月10日 21時) (レス) id: df27e88f4d (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 最近続けてコメントしてしまっていて・・申し訳ありません💦ただ、かぐやさんが断念された「や」から始まって「つ」で終わるものですが、二つの漢字の間に全角の間を入れると打ち込めるはずです！！是非やってみてください！ (2022年12月10日 20時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 沙月かぐやさん» そうなんですね！嬉しいです！是非コメントを((殴 私もいつも楽しませていただいています！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙月かぐや | 作成日時：2022年1月16日 16時
