お出かけ3 ページ38
僕は眉を顰めて、室長を見る。
「…悪辣ですね」「同感だ」
室長は椅子に座り直したままぐちゃぐちゃの机を漁り始めた。
「前もあっただろ、こんな…ああ、これだこれ。」
そう言って、一枚の紙片を彼女は取り出す。
『ヒナギク』について語られたニュース。国家の諜報機関を叩く、珍しい記事だったから僕も覚えている。
僕は特報と前回のその記事を見比べた。
「……」「翠??」「…いえ。」
新聞を二部、机の上に置く。僕はある欄を指差した。
「これ。ライターが同じですね」「ん。そうだな…」「これは、『ヒナギク』に対して悪意を持っている、ととって良いでしょうか」
室長は少し逡巡したあと、頷いた。
「そうだな。あたしも、『花夢里』の筋から情報をあたってみるわ」「なぜ花夢里から」
「スパイデーにあの家系統のスパイがいるっての聞いたことがある。とりあえずお前は、A迎えに行け」
僕は目を見開いた。
「何故ですか」「今頃A、この記事書いたやつとか同業者とかにみられてるだろうからな!」
「なぜ僕」「お前婚約者だろうが」
それは形だけでしょう。と突っ込みたくなったものの、「ちゃんと制服脱いでいけよー?」とまで念を押されてしまった。
携帯を使えばいいだろうに。
「室長、Aの電話番号を教えてください」「ん?」「呼び戻します。」「ないぞ?」「は?」
あいつ、スマホ持ってない。
僕は頭痛を堪えるのに必死だった。
Aが浮世離れしている理由がやっとわかった。
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沙月かぐや - 沙月かぐやさん» 結局戻ってきました。また更新をガラパゴスカメスピードで始めます。よろしくお願いします (10月28日 18時) (レス) @page47 id: f5040de9d0 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - プロフィールにも書いたとおり、短編集を作りました。まだ何も書いていませんが、よろしければそちらもお願いします。いつも応援、ありがとうございます。 (2022年12月29日 20時) (レス) id: b3854d6ed6 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - さくにょさん» 本当ですか!?まだ裏つくに慣れてなくて、全然そういうことに詳しくないので、教えていただけて本当に嬉しいです!書き直しますね!コメントの件ですが、お気になさらず…いつも本当に力をもらっています、ありがとうございます (2022年12月10日 21時) (レス) id: df27e88f4d (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 最近続けてコメントしてしまっていて・・申し訳ありません💦ただ、かぐやさんが断念された「や」から始まって「つ」で終わるものですが、二つの漢字の間に全角の間を入れると打ち込めるはずです!!是非やってみてください! (2022年12月10日 20時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 沙月かぐやさん» そうなんですね!嬉しいです!是非コメントを((殴 私もいつも楽しませていただいています! (2022年12月7日 22時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙月かぐや | 作成日時:2022年1月16日 16時