検索窓
今日:40 hit、昨日:8 hit、合計:7,341 hit

食欲には抗えないという話。 ページ27

「…で、どこまで終わったんだい」「あ、それなんですが…」

 Aはほんの少しだけ嬉しそうに微笑んだ。

「ほぼ、おわりました。」
「は???」「え????」


 は????

 僕は目を見開いた。

 久々に驚愕、という気持ちを味わった気がする。

 心を落ち着けて。

「すまない、もう一度言ってくれるかな」「え?『え』をですか」「違う、その前」「い、いつの間にいらっしゃってきたのかという話ですか」「ちがう。」

 ほぼ終わったって。本当か。

 僕がそれを聞くと、Aは首をややかしげる。

「あの、はい…」

 その表情は本当に疑問符が浮かんだ、不思議そうな顔で。

 僕は今度こそ、驚愕を隠しきれなかった。

 およそ60人分、その分をひとりで、しかもこの品数で作るとしたら、どんな人間でも2時間以上かかる。

 僕は時計を確認した。今、5時。ということは…

「君、今日は何時に起きたんだ」「あ、私は…」

 指折り時間を数えたAは、うん、と一つ首肯してからつぶやいた。

「朝、3時半でしょうか」

 3時半、というと、まだ朝日が登っていない時間だ。

 ふと、頭に違和感が残った。

(……?)

 記憶力が悪いわけではないはずなのだが、思い出せない。手に届くところにありそうなのに思い出せない、それはもどかしい。

 僕が押し黙って、暫くAをみていると、(彼女をみていたら何か思い出せそうだったからだ)彼女は不意にとても不思議そうな顔になった。

 その視線の先、僕はすいっと首を動かして、そして

 『花踏み』

 素早く歩み寄り。

 ずっと覗き見をしていたであろう王牙の首筋に、長剣を当てた。

 

盗み聞きは良くない→←無駄な罪悪感



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

沙月かぐや - 沙月かぐやさん» 結局戻ってきました。また更新をガラパゴスカメスピードで始めます。よろしくお願いします (10月28日 18時) (レス) @page47 id: f5040de9d0 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - プロフィールにも書いたとおり、短編集を作りました。まだ何も書いていませんが、よろしければそちらもお願いします。いつも応援、ありがとうございます。 (2022年12月29日 20時) (レス) id: b3854d6ed6 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - さくにょさん» 本当ですか!?まだ裏つくに慣れてなくて、全然そういうことに詳しくないので、教えていただけて本当に嬉しいです!書き直しますね!コメントの件ですが、お気になさらず…いつも本当に力をもらっています、ありがとうございます (2022年12月10日 21時) (レス) id: df27e88f4d (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 最近続けてコメントしてしまっていて・・申し訳ありません💦ただ、かぐやさんが断念された「や」から始まって「つ」で終わるものですが、二つの漢字の間に全角の間を入れると打ち込めるはずです!!是非やってみてください! (2022年12月10日 20時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 沙月かぐやさん» そうなんですね!嬉しいです!是非コメントを((殴  私もいつも楽しませていただいています! (2022年12月7日 22時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:沙月かぐや | 作成日時:2022年1月16日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。