食欲には抗えないという話。 ページ27
「…で、どこまで終わったんだい」「あ、それなんですが…」
Aはほんの少しだけ嬉しそうに微笑んだ。
「ほぼ、おわりました。」
「は???」「え????」
は????
僕は目を見開いた。
久々に驚愕、という気持ちを味わった気がする。
心を落ち着けて。
「すまない、もう一度言ってくれるかな」「え?『え』をですか」「違う、その前」「い、いつの間にいらっしゃってきたのかという話ですか」「ちがう。」
ほぼ終わったって。本当か。
僕がそれを聞くと、Aは首をややかしげる。
「あの、はい…」
その表情は本当に疑問符が浮かんだ、不思議そうな顔で。
僕は今度こそ、驚愕を隠しきれなかった。
およそ60人分、その分をひとりで、しかもこの品数で作るとしたら、どんな人間でも2時間以上かかる。
僕は時計を確認した。今、5時。ということは…
「君、今日は何時に起きたんだ」「あ、私は…」
指折り時間を数えたAは、うん、と一つ首肯してからつぶやいた。
「朝、3時半でしょうか」
3時半、というと、まだ朝日が登っていない時間だ。
ふと、頭に違和感が残った。
(……?)
記憶力が悪いわけではないはずなのだが、思い出せない。手に届くところにありそうなのに思い出せない、それはもどかしい。
僕が押し黙って、暫くAをみていると、(彼女をみていたら何か思い出せそうだったからだ)彼女は不意にとても不思議そうな顔になった。
その視線の先、僕はすいっと首を動かして、そして
『花踏み』
素早く歩み寄り。
ずっと覗き見をしていたであろう王牙の首筋に、長剣を当てた。
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沙月かぐや - 沙月かぐやさん» 結局戻ってきました。また更新をガラパゴスカメスピードで始めます。よろしくお願いします (10月28日 18時) (レス) @page47 id: f5040de9d0 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - プロフィールにも書いたとおり、短編集を作りました。まだ何も書いていませんが、よろしければそちらもお願いします。いつも応援、ありがとうございます。 (2022年12月29日 20時) (レス) id: b3854d6ed6 (このIDを非表示/違反報告)
沙月かぐや - さくにょさん» 本当ですか!?まだ裏つくに慣れてなくて、全然そういうことに詳しくないので、教えていただけて本当に嬉しいです!書き直しますね!コメントの件ですが、お気になさらず…いつも本当に力をもらっています、ありがとうございます (2022年12月10日 21時) (レス) id: df27e88f4d (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 最近続けてコメントしてしまっていて・・申し訳ありません💦ただ、かぐやさんが断念された「や」から始まって「つ」で終わるものですが、二つの漢字の間に全角の間を入れると打ち込めるはずです!!是非やってみてください! (2022年12月10日 20時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 沙月かぐやさん» そうなんですね!嬉しいです!是非コメントを((殴 私もいつも楽しませていただいています! (2022年12月7日 22時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙月かぐや | 作成日時:2022年1月16日 16時