魔王の一人娘になりまして。【オリジナル】

夢じゃない ページ4

五年間も寝ていた設定なのか。
　滅茶苦茶だな、さすが夢。



「はぁ。銀の髪じゃなければ殺してやったものを……」



　王の冷たい目が私を射ぬく。



　殺すって……私、あなたの娘だよ？



　角や金の瞳が一緒だから、血の繋がりはあると思うんだけど。



　なんで私を殺すなんて言うの？




「殺すと言われても憶さない子だ。理解力も高いようだし、さすがヴァンサンの血を引く子だよ。賢い彼女を簡単に殺さないでくれ、国の損失だ」




　宰相さんがフォローしてくれる。



　私は憶さないっていうより、夢ってわかってるから特に何も思わないだけだけどね。





「あの金の目がムカつく。下がれ」
「目は君讓りじゃないか」
「だから気に入らんのだ」




　私のお父さん怖いなぁ。




　本当の私の両親は優しいけど厳しくもあって、素敵な人達。

　この男とは大違いだ。



　下がれ、と言われたので誘導されるままに部屋から出る。



　メイドさんに案内されて朝食をとった。




　見たこともない肉や野菜に舌鼓を打っていると……。


「……あっ」




　うっかり、お皿を落としてしまった。

　手に痛みが走る。




「姫様！ 大丈夫ですか？」


　メイドが血相を変えてとんできたけど、私は頭がぼんやりとしていた。





　起きたばかりで力が入らないせいで落としてしまった。
　破片が刺さったところから赤い血がつう、とたれている。




「痛い？」


　痛かったら。
　ここは夢の中じゃ、ないの？



　このわけのわからない世界も怖い父親も全部本当。



　私は、どこにいるの？



「……何をしている！ 早く医者を呼べ！」


　上から男の子が指示を出す声が聞こえたけど、私はショックで何も考えられなかった。

私の補佐→←宰相さん

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