魔王の一人娘になりまして。【オリジナル】

私の気品は ページ24

「……へ？」



　ぽんぽん、と頭を撫でられて呆然としてしまう。


　この子……誰だか知らないけど、私のことお姫様だとわかってないよね？
　うんまぁ、目立たないように黒いローブを頭から被ってるし、性別すら識別できないかもしれないけどさ。



　あるでしょ？
　ね？ なんか……隠しきれない気品とかさ？



　ないですか。
　そうですか。



「どこか怪我したなら言ってみな。薬貰ってきてやるから」



　……優しいなぁ。
　あったかいなぁ。

　見ず知らずの子供のために(あっちも子供だけど)薬を貰おうとしてくれるって。



　そうだよ！
　私はこんな風に気安く話しかけてほしかったんだ。



　アルドとか、宰相さんとかさ。

　畏まりすぎ。緊張しちゃうよ。



「怪我はしてないよ。ちょっと悲しくなっちゃって……」
「そうか。で、お前どこから来たんだ？ 迷子か？ どこに所属している？ ……ひょっとして、侵入者か？ 門番は何をしてるんだ……」



　んんん？

　雲行きが怪しくなってきたぞ。




　侵入者だって引っ立てられる姫ってさすがにマズイでしょ。



　パパに庇ってもらえるかわからないどころか、都合が良いと知らない振りをされるかもしれない。そして一気に首ちょんぱコース……ＮＯＯＯＯＯＯＯ！



「ええっと……」


　でも、折角友達になれそうなんだよ。



　王女だってバラして、アルドみたいな敬語になっちゃったら寂しい。



「さ……」
「さ？」
「サファイア宮に勤めてるメイド見習い、なの」


　嘘です。


　ごめんね……罪悪感がチクチクするけど、あなたとお友達になりたいの……。



「奇遇だな！ 俺も今日からサファイア宮勤めになるんだ。俺はルイ。天才剣士だよ！」


　おぉん……剣士……。
　そういえば腰にぶらさげてるのってガチの刃物ですかい？



　物騒な世の中だ……。

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