十三通目 ページ15
axia side
スキップして紙袋をゆらしながら外に出ると
チリ一つない廊下が目に映る。
いつも掃除が行き届いててハエさえ見たことがない。
ああここ引っ越してきてよかったな〜！(虫嫌い)
そもそもなんでおれがこんな豪華なタワマンに住む事が
できているのかというとちょっと前に
人助けした事がきっかけ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日はデビュー当日前最後の打ち合わせがあった。
う〜あとちょっとでデビューかぁ。
うまくやれんのかなぁ？ちょっと不安。
最近はエデンとこっちを行ったり来たりしてて
地味に大変なんよねぇ。引越したいなぁ。
「ぎゃあああああああ〜ッ！！！！！！」
呑気に考えながら歩いているとすぐ横を
小さな男の子がのった自転車がすごいスピードで
通り過ぎてった。
男の子はギャン泣きでただひたすらに叫んでいる。
あれ…これやばいやつじゃ…！
「ゆうとぉ！お願いだからブレーキ！ブレーキぃ！」
あーこれガチでやばいやつか。
後ろを見ると泣きながら走ってくる女の人がいた。
男の子のお母さんだろう。
ここは下り坂でブレーキを踏まなければ
自転車は止まらない。
しかもこのままいけば車通りの多い広い道路にでる。
やば！はやく追わなきゃ男の子ひかれる！！
そう思ったら勝手に足が動いていた。
おれと男の子との差は目測30m。
そして男の子から道路までは約50m。
まだ距離はあるけど下り坂は思ってたよりも
走りにくくていつもよりもスピードが出ない。
これ追いつけるかな…
もっと男の子に近いところに人はいないか
周りを見渡しても歩行者はおれと女の人しかいない。
その女の人も体力の限界みたいで走っているけど
歩いている時と速度はそんなに変わらない。
「ゆうとぉ…！まっててねぇ…すぐッ、助けるからぁ」
息を切らして
涙と汗と鼻水で顔をぐしょぐしょに崩して
靴のヒールをおって、スカートの裾を裂いて
それでも女の人は必死に走り続けていた。
「おかぁさんッ…ぜったいに助けるからぁ。帰りにアイスかってこうねぇ…！いっしょに帰ろぉねッ…」
ああ。親子ってこうゆうことか。
今泣き叫んでる男の子はこの声も聞こえてないだろう。
でも少しでも安心させたくて助けたくて
女の人は走って、笑って、泣いている。
この人達の当たり前の幸せを守りたくって
おれは車が目前に迫る男の子に
届け、届けと
めいいっぱい手を伸ばした
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春日屋葵衣ｰkiikasugaiｰ(プロフ) - 検索避けできていなかったので一つ目のコメントは消させていただきました。ごめんなさい。 (2022年12月15日 22時) (
レス) id: b56938aac1 (このIDを非表示/違反報告)
春日屋葵衣ｰkiikasugaiｰ(プロフ) - なつさんありがとうございます！これからもがんばります。 (2022年12月15日 16時) (レス) id: b56938aac1 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 長くなりましたが、何を言いたいのかと言うと続きを楽しみに愛読させて頂きます！頑張ってください！書き込めず2コメになってしまいすみません！ (2022年12月15日 1時) (レス) id: 5cc64ac1cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春日屋葵衣ｰkiikasugaiｰ | 作成日時：2022年12月8日 23時
