青い金木犀の香り (ページ1)

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新学年ページ1

2020年 7月1日。

新型コロナウイルスの影響で、新学期は今日からになったらしい。

こんな、風もなくあるのはただアスファルトから滲み出る熱だけの季節に、訛ったからだを叩き起して片道2時間もかけて、何故学問に励まなければいけないのか。

私は1時間は電車に乗っているため、不満はそれ程ないが、歩いてくる生徒からすればたまったもんじゃないだろう。
1年生は可哀想だ。特に女の子は。いわゆるJKになった訳だ。普通に暮らしたかっただろうに。

自己紹介が遅れた。私は美樹紅花 (ミキクレカ)
このロ黒高等学校の2年。オカルト部に所属している。理由なんか特に無い。ただ、幽霊が見てみたかっただけだ。

友達は並にいて、彼氏は居ない。容姿も特別良いわけではなく、学力も平均的だ。

高校に行けば夢やらなんやら見つかるとか、あまっちょろい事も考えていたが、そんな事も全く無く、ただ今は、趣味の水彩画を描くことばかりしている。

無限のその色達は、私の心を癒してくれる。とても楽しいのだ。面白いのは、その時の心理状況がよく絵に描かれていて、一目見ただけでその時の感情を鮮明に思い出すことが出来るのだ。

具体例としては、そうだな。1番わかりやすく言うと、喜ばしいことがあった時はタッチが柔らかく、色彩も鮮やかだ。しかし落ち込むような日には、素朴なデザインにくすんだ色を使う作品が明らかに増える。

下手な写真よりその方が成長を見られる気がした。

何故こんなにつまらない人間になったのか。子供の頃の沢山の夢は、希望は、何処へ消えたのか。

いや違う。子供の頃もきっと、みんなが夢を見ていて、みんながワクワクしていたんだ。そしてその子供達みんな、大人になるにつれてその感情を忘れていくのだ。

それが当たり前なんだ。特別な奴と言うのは、産まれた頃から何かが違って、考える事もひねくれている。人口の2割、そういうものがこの世を明るくしていくのだろう。私達、一般人はそれを回す為の金と時間を費やすしかないのだ。

なんて。違う。子供の頃なんかみんな一緒だ。努力する奴が特別になる。分かってるけど。そんな現実的で屈辱的なことには目を背けたくて、今日も自分が苦しくない方向へ進む。

そこがダメだって。気づいてるよ私だって。

訳の分からない話に発展したところで、目的の駅に着いた。