Butterfly -tkin- 《1》 (ページ5)

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慧side

あぁ、俺邪魔になるだけだし
願いがかなうのならば
切実にこのコートから出たい…

なんてボーっと考えていたからか。

──ドンッ

慧｢きゃ、｣

ドサリ、

相手のチームの人に盛大にぶつかられ、
1時間目からさっそく負傷。

あぁ、ここまでくると
本当に情けなくて泣けそうだよ…。

慧｢…痛っ、｣

なんならついでに今の衝撃で
足首をやってしまったかもしれない。

我ながら自分の虚弱さに呆れる。

｢伊野尾、大丈夫か？｣

慧｢あー、はい、たぶん…。

…でも保健室行ってきます、｣

｢一人で行けるか？

おい、誰か一緒に──｣

慧｢あぁ、大丈夫です！｣

先生が試合中のみんなに声をかけるのを
止めて、振り返れば大ちゃんは
それにすら気づいてないっぽいし。

まずチームに一切貢献してない人が
知らない間に怪我したなんて

そんなの知られたら恥ずかしくて
たまったもんじゃない。

慧｢みんな頑張ってるみたいなんで、
俺ひとりで行ってきます。｣

｢お前ももっと頑張れよ笑｣

ボカッとごつい手で背中を叩かれつつ、
俺はひょこひょこと変な歩き方で。

あいにくですが先生、
僕、頑張ろうとした結果
頑張る前にこうなったんです。

ジンジンと痛む左足首をかばいながら、
情けない自分に悲しいを通り越して

なんかちょっと笑けてきたのが
余計に俺を悲しくさせた。

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