うみとゆき -tkin- (ページ47)

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雄也side

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慧｢やっぱいいね、
高木の運転する車の助手席に座るの｣

仕事がお互い休みだった日、
朝から海に行きたいと
言い出したのは伊野尾くんで

伊野尾くんから言うなんて、珍しいね
と言ったら、伊野尾くんは悪戯に笑って

" たかぎが一番好きな海、連れてって？ "
なんて可愛い顔して甘えてくるもんだから

何な裏があるんじゃないかと
逆にその態度を疑うぐらいだけど。

…でもまぁいいか、
せっかく二人きりで海に行けるんだから。

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雄｢伊野尾くん、そこ波くるよ｣

車から降りて春の陽射しの下、
伊野尾くんが波打ち際まで歩いてくから
その後ろをゆっくり追いかれば。

慧｢ぅわ、バカもっと早く言えよ！｣

キャー、って女子みたいな声上げながら
押し寄せる波から逃げる伊野尾くん。

薄いカーディガンから出た
その白くて細い腕を掴んで引き寄せたら、

｢あぶねー！」なんて、肩を揺らして
いつもの変な笑い方してる。

雄｢朝の海って、綺麗でしょ？

昼の海は見慣れてるけど、
朝はまた空気が違う気がするし。｣

慧｢うん！俺朝から海来たの初めてだ。

たかぎと前来たのは夜だったもんね｣

本当に嬉しそうな顔して、
伊野尾くんは真っ青な海の空気を
思い切り吸い込む。

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