うみとゆき -tkin- (ページ30)

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慧side

かっこつけて、お洒落な縁が丸い
サングラスなんか掛けて
高木は子供みたいにはにかんでる。

冬の海は寒くて苦手だけど、
高木が楽しいならそれでいいやって

俺それだけ高木に惚れてるんだな。

──バチバチッ

閃光の中で火花がきらきらと踊りながら
暗い砂地を赤く照らす。

大｢うぉぉ、すげー！｣

雄｢キレーだね、伊野尾くんっ｣

花火を手に持ってバカみたいにはしゃぐ
高木と大ちゃんの横で、
裕翔は面白そうにそれを被写体にしてる。

裕｢大ちゃん動きすぎ、写真がブレる｣

大｢つか、なんで撮ってるんだよ笑｣

裕｢えっ、思い出は形にして残すものでしょ｣

あとでヤマに見せてあげよー、なんて
嬉しそうに笑いながら

楽しそうな笑い声に重なる
火の粉が飛び散る音に、
俺も自然と笑みがこぼれた。

.

気を利かせたのか、単にはしゃぎ過ぎたのか…
大ちゃんは向こうの方に走っていって、
裕翔がそれを追いかけて。

パチパチともう消えそうな花火を、
高木と二人で持つ。

雄｢なんかこの花火暗いねー、
そういう種類なのかなぁ？｣

慧｢…｣

それはお前がサングラスを掛けているからだよ。

そうツッコみたいところ、
なんかちょっと切なくなったから
あえて黙っておくことにした。

.