DROP -mmru- 《番外編》

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ラウールside





遠慮がちに握り返した手は温かくて、

人目を盗んでされるがまま、
二人で飛び出した外はもう真っ暗で。





めめが捕まえてくれたタクシーに乗り込めば、

バックミラーからは見えない死角で
一度はぐれた左手がまたギュっと握り返された。





「…」





ただ純粋に、" 愛しい " って、

こういう感情のことを言うんだろうなぁって
じんと胸の奥が熱くなるのを感じながら。





バレないようにそっぽを向きながら絡めた指先、
横目に見えるめめは悪戯そうな顔で笑う。





好き、だな。





無駄がないその綺麗な輪郭の線も、
ちょっとだけ垂れた甘い目尻も

俺には勿体無いぐらい全部がかっこよくて、
言葉じゃ足りないぐらい全部が愛おしい。





「…めめ、」





重いって思われるかもしれないから、
せめて俺の気持ちの半分ぐらい。





" 大好き " の代わりに繋いだ手を握り返せば、

不意にぴたりと重なった視線の後で
めめはゆるりとその口角を上げて。





目「──俺も。」





運転手さんには聞こえないように、
めめが頷いた後で低く声を漏らす。





窓の外に映るネオン色の都会の夜と
どこまでも追いかけてくる月を背景に、





ため息が出るぐらいに綺麗なこの景色を
今は俺が独り占めしてるんだって思ったら

なんだか凄く、嬉しくなった。





「…うん」





めまぐるしく移り変わる外の景色が、
見慣れた住宅街へと近づいていくのが寂しい。





このままずっと、めめと二人きりで
乗ってられたらいいのに、なんて

夢も魔法もない世界でくだらない幻想を描いて





精一杯の愛しさが募って絡まる指先に、
目頭が熱くなるのを感じながら

俺は寝落ちしたフリをして、
めめの肩にそっと凭れかかった。





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