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しばらくの静寂。
遠くで聴こえる雑踏と、車の音だけ。
だけど私の頭の中では心臓の音が大きな音で響いてる。



『それは・・LOVEじゃなくてLIKEだよね?』



可笑しなことを言ったつもりはないのに、ミンくんは歯をみせて大笑いしてる。

だって!だって!

同僚のかわいい後輩に、
誰でも虜にしちゃうモテ男子に、
“好きです”なんて言われたら絶対勘違いするじゃん!
違うよって、言ってもらわなきゃ勘違いしたままになっちゃうよ!



「さぁ?どっちでしょう?ご想像にお任せしますよ?」

『からかわないで!ハッキリしてくれないと本気で困るから!』

「フフ(笑)もちろんLIKEですよ?何勘違いしてるんですか?先輩♡」



年上をからかって・・!
勘違いした自分を恨む。



「可愛いなぁ、先輩♡」



追加。
勘違いした自分と、また懲りなく勘違いした自分も恨む。
この子、塩対応ばかりしてるけど、
実はものすごい人たらしなんじゃないかって疑う。



『ミンくん・・ずるい。』

「あー、よく言われます(笑)ありがとうございます。」

『褒めてない。』



何を返しても楽しそう。
私は何も面白くないけど??



「先輩、明日の休みって予定ありますか?」



からかわれてた上に唐突な質問が飛んでくるから変な声が出た。
「なんすか?その声」って笑われながらも『ない』って答えちゃうのが、私。



「この前のお礼と、今日のお詫びを兼ねて、一日付き合ってもらえます?」



差し出されたのは気になってた展覧会のチケット。
ミンくんは私の心が読めるのかな?



「明日10時に迎えに来ます。」



気づけば見慣れた扉の前。

少し頬を紅く染めたミンくんの笑顔に、一瞬でもドキってしたのは、きっと気のせいだ。

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作者名:蒼しょこら | 作成日時:2022年5月16日 15時

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