第193話 ページ16
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苦しい。そう零した煉獄さんが、あまりに哀しそうで。
勢いで、抱きしめてしまった。
『(…そうだ…そもそも、煉獄さんをこんな気持ちにさせたのは私が原因だ…。私が…弱いから…)』
…彼には笑っていて欲しい。そう願っているのに、そうさせていないのは、私自身じゃないか。
『すみません…』
「何故君が謝る」
『私が弱いから…煉獄さんや皆に迷惑を…「それは違う」
「君に非はない。俺が不安になるのは、勝手に君を好いているからであって、君が狙われる事が迷惑だと思うのも間違いだ。
根本的に勘違いをしている。悪いのは、Aではない。全ての元凶の、鬼舞辻無惨だろう」
そう言って、煉獄さんが優しく私を包み込む。
「そうやって、また1人で抱え込むのはやめてくれ。君の悪い癖だ」
『…!』
「全てを背負わなくていい。それはもう知っているだろう?」
『…すみません』
無意識に力を入れてしまったのだろうか、煉獄さんが優しい手つきで私の頭を撫でた。
「あまり悲観的になりすぎんようにな。仲間がいれば大丈夫だ!」
『はい…』
そう返事をすれば、ポンポンと背中を優しく叩かれ、煉獄さんが、では、くれぐれも気をつけて。と、私を離す。
『…煉獄さん』
「?」
『柱稽古や任務が今より落ち着いて…ゆっくりする時間が少しでも取れたら、約束の美味しいご飯、食べに行きましょう』
「!」
『最近、少しずつ食欲も増えてるみたいですし…あ、無理は駄目ですけど!もし、よかったら、お願いします…!』
と、ぺこりと頭を下げれば、顔を上げてくれ。と優しい声が降ってくる。
「こちらこそ、お願いしよう!食欲なら問題ない!最近は調子がよくて外のご飯でも十分食べられる。
…必ず行こう」
『はい!』
では、行ってきます。と告げれば、柔らかく微笑んで、行ってらっしゃい。と見送ってくれる煉獄さん。
「熱烈ですねえ」
『ひっ、し、しのぶさん!?』
「そんなお化けを見たような声を上げないでください」
『い、いつから見て…』
「始めからですよ」
『…忘れてください』
「ふふっ、それにしても…あれでお付き合いをしていないなんて」
と、妖艶に笑うしのぶさん。
…くっ…び、美人すぎる…((
「…お互いが生きてる間に、大事な事は言葉にしておきなさい」
『!』
「喪ってからでは、遅いですから」
『…はい。肝に銘じておきます』
そう言って微笑むしのぶさんの表情は哀愁に満ちていた。
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たくあん(プロフ) - なな号さん» コメントありがとうございます!貴重なお休みを使って読んでいただいて嬉しい限りです(;;)完結して数年してからもそう言っていただけてありがたいです!こちらこそ嬉しいコメントをいただきありがとうございます(*ˊ ˋ*) (10月31日 22時) (レス) id: 909cf7c15b (このIDを非表示/違反報告)
なな号(プロフ) - すごいいい作品すぎて休日一日使って一気読みしてしまった。そして鬼滅にまたハマってしまった。ほんと素晴らしい作品ありがとうございます‼︎感動しまくりでした! (10月25日 0時) (レス) @page49 id: 98aa855e93 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!1年前に完結している作品にコメントいただけると思ってませんでした!笑 嬉しい限りです!!(*^^*)ありがとうございました!! (2021年10月2日 22時) (レス) id: 514b72b12d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年10月2日 18時) (レス) @page49 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます! 感動していただけてよかったです!!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!閲覧していただきありがとうございました! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 5567af4702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年11月5日 23時