第174話 ページ44
.
「ヒョヒョッ初めまして、私は玉壺と申す者。殺す前に少々よろしいか？」
刀を構え警戒しつつ距離を取っていれば、そう言った鬼――玉壺。
「今宵四方のお客様には是非とも私の作品を見ていただきたい！」
「作品？何を言ってるのかな」
『どうでもいい。つまらん』
「まあそうおっしゃらず。ではまずこちら」
私達の言葉を無視し、パンパンと手を叩けば、壺から赤黒い何かが少し吹き出た後、それは出てきた。
「"鍛人の断末魔"で御座います!!」
「『!!』」
ひび割れ所々が欠けた面、赤黒く染まる手足と服、そしてそこに刺さる複数の刀。5人の刀鍛冶が壺をから現れたのだ。
そして、その中には、
『かな、いけ…さ…』
「御覧くださいまずはこの手！刀鍛冶特有の分厚い豆だらけの汚い手を！あえて！私は全面に押し出しております！」
「金剛寺殿…鉄尾さん…鉄池さん…鋼太郎…」
「あああ…鉄広叔父さん…!!」
2人が名を呼べば、おっしゃる通り！と手を叩く玉壺。
「この作品には5人の刀鍛冶を贅沢に！ふんだんに使っているのですよ！それほど感動していただけるとは!!」
『…』
…鉄池さん、嘘だ、まさか、あの日が…
"お前、小せえ身体でよく頑張ってるよ。本当に気をつけてくれな"
「更に刀を刺すことにより"鍛人らしさ"を強調しております！」
怒りで興奮してるのか、震える身体。
ハッ…ハッ…と短い息になっていた時、ギャアアア！と断末魔が響き渡り、私の中で何かが切れた。
「どうですか素晴らしいでしょう！断末魔を再現するのです!!」
『殺す』
「ヒョッ…」
頸を斬るように刀を振るうも、壺に引っ込んだ奴は屋根の上の壺へ移動していた。
『よくも…よくも…！』
「…おや？貴女の着てるその羽織…見覚えがありますね」
『あ？』
殺気を放ったまま刀を構えていれば、ヒョヒョッと気色の悪い笑い方で私を見る玉壺。
「ああ、思い出しました。数年前にも君と同じ羽織の、同じ呼吸の使い手を殺しました」
それを聞いただけなのに、ドっと出てくる冷や汗。
…いや、やめろ、そんなはず、
「残ってますよ、ちゃんと綺麗に…」
『ーーッ』
壺から出てきたのは綺麗な黒髪に、私と似た黒曜の瞳。それを見た瞬間、本能でわかった。
――彼女が前世の姉であると。
「些かしぶとい女でしたねえ…」
『もう黙れ…!!』
「しかし彼女も芸術！私のお気に入りなのですよ！」
『お前を地獄へ送ってやる!!玉壺!!』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たくあん(プロフ) - ひまわりさん» コメントありがとうございます！！(*´`*)嬉しいです！（ ; ; ）かなりの話数なのに！（ ; ; ）ありがとうございます！続編でも頑張ります！(*^^*) (2019年11月6日 12時) (
レス) id: 217fb630d3 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - コメ失礼します！一気読みしちゃうくらい面白かったです！続きを楽しみに待っています＼(^o^)／ (2019年11月5日 23時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - こね子さん» コメントありがとうございます！！めっちゃ嬉しい（ ; ; ）楽しんで頂けてよかったです！更新頑張ります！(*^_^*) (2019年11月1日 12時) (レス) id: 9978d450db (このIDを非表示/違反報告)
こね子 - すんごく面白いです！！今日、1話から一気読みさせて頂きましたが！先の展開が読めなくて続きが気になって仕方ない！！笑 更新楽しみに待ってます！ (2019年10月31日 21時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ゆりかもめさん» コメントありがとうございます！(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです！！（ ; ; ）リクエストもありがとうございます！余裕が出てきたら書かせていただきますね！！(*^^*) (2019年10月27日 19時) (レス) id: 4fbafed690 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たくあん | 作成日時：2019年8月9日 0時
