第85話 ページ43
.
煙が晴れ、視界が良くなったと思えば、猗窩座が悲痛の表情を浮かべている。
「このっ、女ァ…!」
『はぁっ…はぁっ…!やっ、た…』
右腕の落ちた猗窩座の身体を貫く、細い白藍の刃。
流石の猗窩座も、腕はまだ完全に再生していない。
『はぁっ…がはっ!』
「A!」
ドババ!と口から血を吐く彼女は、ふらりとしながらも、折れた刀に力を入れる。
『煉獄さん!!頸を!!』
「!!」
ぶん!と刀を振るい、猗窩座の頸を斬ろうと力を込める。
「オオオオオ!!」
「!!」
顔に迫る左手の拳を片手で止めれば、力いっぱい握りしめる。
『再生、させない…!』
「!…A…!」
再び腕を落とし、今度は脚を切り落とすA。
血を吐きながら、全身がボロボロになろうとも、両手で刀を振るう彼女。
…ああ…やめてくれ。自分自身をもっと大切にしてくれ。
いつも、そんな小さな身体で自分よりも他人を大事にするから、いつか、君が壊れてしまいそうで。
「(だから…俺が絶対に守ってやらねば…!!)」
彼女が刃を振るい、猗窩座が再生を繰り返しながら膠着状態になれば、徐々に辺りが明るくなってきた。
朝日が昇ってきたのだ。
すると、猗窩座の表情が途端に変わった。
「オオオオオアアア!!!!」
「(絶対に離さん…!)」
『(絶対、逃がさない…!!)』
――お前の頸を斬り落とすまでは!!!!
『ああああ!!』
「オオオオオオ!!!!」
「あああああ!!!!」
ギっ!と刃が猗窩座の頸の半分まで来た時だった。
「伊之助動けーーっ!煉獄さんとAのために動けーーーっ!!」
竈門少年と猪頭少年が動いた。
2人の刃が、俺とAの刃を後押ししようとした瞬間、
ドォン!!
「(刃と腕を…!)」
『っ、くそが…っ』
森の中へと逃げる猗窩座に、竈門少年が自分の日輪刀を投げれば、見事に貫いた。
「逃げるな卑怯者!!逃げるなァ!!!!」
「!」
「いつだって鬼殺隊はお前らに有利な夜の闇の中で戦ってるんだ!!生身の人間がだ!!傷だって簡単には塞がらない!!失った手足が戻ることもない!逃げるな馬鹿野郎!!」
『たん、じろ…』
「A!」
バタリと倒れる彼女の身体を抱えれば感じる違和感。
…なんだこれは、まるで、
「(質量が…ない…)」
「煉獄さんやAの方がずっと凄いんだ!強いんだ!!2人は負けてない!!誰も死なせなかった!!闘い抜いた!守り抜いた!
お前の負けだ!煉獄さんと、Aの勝ちだ!!」
1256人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たくあん(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!!柱なので頑張ってもらっちゃいました!!!((笑 ありがとうございます( ; ; )頑張ります( ; ; ) (2019年12月27日 0時) (レス) id: 0c6fafeba7 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 夢主ちゃん、下弦とのエンカウント率高www((更新頑張ってください!! (2019年12月22日 16時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ふらんさん» コメントありがとうございます!!ご期待に添える展開に持っていけるか不安ですが、更新頑張っていきます!!ありがとうございます( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます!!面白いって言って頂けて本当に嬉しいです( ; ; )更新頑張ります! (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 葵咲さん» コメントありがとうございます!( ; ; )うおお…う、嬉しい…!( ; ; )更新頑張ります!( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月25日 1時