第6話 ページ8
.
《A!早くおいで!置いてくよ!》
《待ってよお姉ちゃん!》
《ほら、早く早く!》
《待ってってば!》
…お姉ちゃん、待ってよ。どうしてそんなに速く走るの。私追いつけないよ。
《A、早く…》
走っても走っても追いつけない。前に進んでる気がしない。
《待ってお姉ちゃん…!私を…1人にしないで…!》
《早く…A……》
《お姉ちゃん!置いてかないで!私も一緒に…!》
《A……目を…覚まして…》
《!!!》
『お姉ちゃん!!』
「!!」
そう叫んでバッと掴んだ服。その先を見てみれば、蝶を連想させるようなピンクと緑のグラデーションがかかった羽織。
『えっ…あ…え…?』
「大丈夫ですか?」
ニコリと柔く微笑むその人は間違いない、私が作中でも大好きだった蟲柱の胡蝶しのぶさんだ。
…え、でも待って、なんで目の前にしのぶさんが??いや、それよりも…
『す、すすすみません!!私なんぞが気安く触れてしまって!!申し訳ございません!!』
「ふふっ、随分謙虚なお嬢さんですねえ。その様子なら怪我の具合も大丈夫そうでよかったです。ねえ、冨岡さん」
「……」
『(ひえっ…冨岡さ…え?義勇さんまでいるの?えっ?ええっ?やっぱこの2人デキて……って…怪我…?)
…ッ!』
…あぁ、そうだ、そう言えば知らない奴に心臓触られるわ斬られるわで散々な目に……。
と、ふと、左胸に覚えた違和感。
「?どうかされま…!」
「!?」
ガバッと胸元を開け、左下に視線をやれば、見慣れない刺青。
…なに、これ…藤の花…?
『(なんだ、この、変な感じ……嫌だ…なにこれ…)』
「冨岡さん!出てください!」
と、しのぶさんの声にハッとなり急いで胸元を閉じた。
『重ね重ねすみません…はしたない真似をしてしまい…穴があったら入りたい……』
「いいんですよ。そもそも、女性が眠っているこの部屋に居た冨岡さんにも非があるんですから。それより、どうかされました?」
胸、不思議な刺青ですねえ。と、しのぶさんにマジマジと見られる。
…やべえ、なんだこの状況。しのぶさん可愛すぎて鼻血出そう。
なんて不謹慎なことを考えていれば、ズキン、と激しく痛む胸。
『〜〜〜ッ!!』
「!大丈夫ですか!?」
『ヒュッ…ハァッ…ハッ…!』
「落ち着いて下さい、ゆっくり息を…」
頭に過ぎるのはあの男の言葉。
――あまり"こちらの人間"と関わらない方がいい。
『(クソっ…なんなの……)』
1618人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヘル - WW (2021年5月22日 0時) (レス) id: 8a8dc3fa13 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 第45話で絶対たまたまだけど名前出て一人で喜びの舞踊ってた→見られてた→\(^o^)/ (2020年7月20日 0時) (レス) id: 0b06ea8062 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - せりりんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^ ^*)更新頑張ります!! (2019年6月24日 18時) (レス) id: 17eabedad2 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 感動しました!炭治郎流石って感じです! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 凄いてんかいっすね! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月12日 0時