【wrwrd！】２度目の人生を我々と。 (ページ49)

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四十九戦目ページ49

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ひとらん視点

運良く仕事が俺だけ片付いていてトントンからAの買い物の荷物持ち護衛案内のため同行することに。と命じられた。

これ程仕事ちゃんとやってて良かったって思ったことはない。

俺の手を控えめに握り、キョロキョロと周りを見ながら俺に着いてくるA。
目が合うと控えめに笑おうと下手くそな笑顔を返してくれた、そんな姿がたまらなくかわいかった。

「うん、笑顔できてきてる」
『ほ、ホントですか！？ロボロにゆっくりでいいって言われて僕頑張ってみようっ思ってて…』
「…うん、ゆっくりでいいよがんばれ」
『…うん！』

あんまり嬉しそうに返事するもんだから、思わず手が彼女の頬に伸びそうになるのを堪えて頭を撫でてやる。

そして、さっきから俺らの後ろをチョロチョロと着いてきている子犬2人の方を見てニヤリと笑ってやった。
シャオロンと目が合い、すぐに彼女の方に向き直す。

視界の端でシャオロンの悔しそうな表情が見えた。

「ざまーみろ」
『ねぇ、ひとらん』
「え、なに！？」

俺の服の袖をクイっと揺らすその行為に少し胸を高鳴らせ、今の発言が聞かれていたら。という焦りも抱きながら返事をしたが彼女は移動式のクレープ屋さんを指さしていた。

『あれって、なに？』
「あれはね、クレープって食べ物だよ」
『クレープ…』

良かった、聞こえてない。

ちょうどタイミング良くクレープを買った可愛らしい親子をじっと見つめるAに食べてみるかと問いかけると、目をキラキラさせて首を縦に振った。

『僕、初めて…』
「A、男の子はもうやめていいんだよ」
『え？』
「たまにだけど自分のことを僕って言ってるの気づいてた？」

俺に言われて初めて気づいたのだろう、すこし驚いた表情をしながら俯く彼女に声をかける。

「それもゆっくりでいいから直していこう。Aは女の子だよ。もう自分を偽ったりしないで」
『うん…、ひとらんありがとう』

Aにクレープ食べに行こうと促すと思い出したように彼女は言う。

『さっきからなんで出てこないか分からないけど折角だからシャオロンとコネシマさん呼んでいい？』

驚きしかなかった。
いつから気づいてたんだ？移動中も彼女の目線に入らないように配慮していたつもりだったし、ましてやあいつらも我々国の幹部の位。簡単に見つかるような尾行ではなかったと思うが。

俺の目の前で下手くそな笑顔を浮かべる彼女の能力に背筋に寒気が走った気がした。