【wrwrd！】２度目の人生を我々と。 (ページ45)

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四十五戦目ページ45

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照れを隠すように彼は少し荒くハサミを置いた。

「ほら、終わったで」
『わ…、整えるだけで全然違う』
「ん～、Aかわいいめう～！！僕、上出来！」

ガバッと抱き着かれ、私の頬に頬擦りをするオスマン。絡み方が女の子っぽく可愛らしい彼にびっくりしていると彼の動きがピタリと止まった。

どうやら私の左に流している前髪をジッと見つめているようで。

「Aの前髪なっがいな～、邪魔ちゃうん？」
『いや、前髪は…こっちの方が落ち着く』
「あ、そーや！折角やし前髪も短くしたらどや？目見えてる方がかわええきっと！」
『え、いや、ちょ、オスマン…』

グイグイと来る彼の勢いにより私のささやかな抵抗は掻き消され、前髪に彼の手が伸びる。

《うわ、こいつ左右で目の色違う！気持ち悪い！》

《化け物だ！こっちに来るな！》

《汚らわしい手で触るな！！！》

沢山の罵倒が耳の奥に聞こえてきて、
手が振りかざされる記憶が蘇って、

私は目を瞑るしかできなかった。

〇△□

『ごめんなさぃ……』

小さな、震える声が聞こえて彼女の前髪に伸ばしていた手を止める。

ごめん？
A何には謝り、怯え震えているのか。

考えられる原因は僕のこの手にあるのだろう。
昔の記憶が蘇ったのか、僕は彼女を安心させたい一心で伸ばしていた手を頭の上に置いた。

「A？大丈夫、僕はオスマンやで？」
『オス、マン……？？』
「そう、オスマン。ごめんな、怖がらせてもうたな」

優しく頭を撫でてやると、ようやく安心したのかホッとした表情をした彼女と目が合った。

『えっと、ごめんなさい。前髪はこのままで大丈夫だから。ありがとう』
「え、A待ってぇな」

僕の声は彼女の耳には届かず、伸ばした腕をすり抜けて彼女は部屋を出て行ってしまった。

「はぁ…、何を焦ってんの僕は」

思い当たる節はいくつもあった。
トントンに見せたあの顔やロボロの服を着ていたこととか？？

仲良くなりたい気持ちが行動に出てしまっていて逆効果だったみたいで。

行き場のないこの右手を僕は何処にやったらええやろね。