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a poet. ページ17

『美味しかった…もう一回最初からやり直したい。』


「すげえなお前」


『連れてきてくれてありがとうございます。』


うん、となんだか歯切れの悪い彼に首を傾げた。



「これ」と机の上に乗せられた紙袋はダークレッドで誰もが知るブランド。


『これ』


「誕生日おめでとう。」

『くれるの…?』

「どうぞ」

恐る恐るその紙袋をこちらに寄せて中からラッピングされた箱を取り出した。


『うわ、なんか緊張する』

「やめろよハードル上げるな」


赤いシーリングスタンプが押された包装紙を綺麗に剥がして現れた赤いレザーのケース。


ゆっくり開けてそれを見た瞬間秒速で蓋を閉じた。


『本気?』

「何だよ」

『本当にこれ私にくれるの?』

「だからそうだよ。」


中身はシルバーで針がブルーの腕時計。
これがいくらくらいするのか私だって知ってる。

そして、腕時計を人に贈ることにどういう意味を持つのか、普段作詞をしているようなこの男が知らないはずもない。


『分かってて時計にしたの?』

「…分かってるよ。」

『着けてみていい?』

「お前のだからな」

慎重に取り出して腕に嵌めるとサイズもぴったりでちょっとびっくりした。

「似合うよ」


『……ちょっとびっくりしてる』


「何?」


『なんか、こんな誕生日に素敵なお店予約して、素敵なプレゼント貰って。ドラマみたいじゃん。』


「……喜んでくれたなら良かった」


『ジフンの誕生日何しようかな』


「お前がオレの為に考えてくれたことなら何でも嬉しいでしょ」


その言葉に危うくやられそうになったけど
「してほしいこと 欲しいもの募集しとくからあったらちゃんと言ってよ」と湯呑みのお茶を飲みながら誤魔化した。



「…じゃあ、1個お願いあんだけど」


『何?出来ることなら何でもやりましょう。』



「次のAriaはオレも曲作る。」


『そんなことでいいの?』


「そんなことじゃなくて、それがオレにとっては重要なんだよ。」


『…ねえ、もしかして最初に共作したのがユンギオッパだったの結構根に持ってる?その感じ。』


冗談で笑いながら頬杖をついて身を乗り出すと「だったら何だよ。当然だろ」と。


え、聞き間違いとかではないですよね。


『…びっっっくりしてる今。あんたってそんなこと思うんだ。』


「お前、オレのこと聖人君主かなんかだと思ってる?

ただの男だよ。オレだって。」







….


「何でお前が赤くなんの?オレだろどっちかって言ったら」


『不意打ちくらった。露骨に照れてしまった。』


「普通に、男だよ。大事な人の誕生日はちゃんと一緒に祝いたいと思うくらいには。」


『…悔しい』


「なんで張り合おうとしてんだよ。」


『待っとけよ来月』


「なんで戦闘体制整えてんだよ」



だってふざけてないと、普通に照れて普通に恥ずかしくなって普通の女の子になっちゃいそうだったから。


ユンジョンハンがここにいてみ?イジられて終わりだよ私。


 
まあ後日スマホいじってる時に寿司屋で撮った写真を見られて「お前なにこれいつ?」と質問責めにあいました。最悪です。

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作者名:RIN | 作成日時:2022年11月19日 10時

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