becomes ページ16
正直なところ。
ホシと寿司に行った時、ホシがAに写真を見せたらしく「うわ、美味しそう」とボソッと呟いたところからのオレの行動は自分でもビビるくらい速かった。
有名だけど華美すぎず、個室があって、アイツが好きそうなお店。
調べて、暇さえあれば電話をかけて予約を取った。スケジュールが無いのも確認したし海外ツアーから戻って来てすぐだから怪しまれないだろうしセヨンヌナに仕事入れないでくれって頼んだらめちゃくちゃニヤニヤされた。
誕生日当日はきっと他のメンバーが何かしたり、Liveをしたりするだろうから前日は一緒に…祝いたくて。
いつ言おういつ言おうと思ってるうちにまさかの当日になってしまって、
"暇っちゃ暇"の言葉に思わず天を仰いでガッツポーズした。
メンバーいなくて良かった。
宿舎のクローゼットを開けたらTシャツ、パーカー、短パン。
服に大して興味がないとこういうことが起きる。
流石にデート……でいつも通りの格好は出来ないし必死に探していつかの雑誌の撮影で着て貰ったニットとパンツを引っ張り出した。
こういう時、95やミンギュはそれらしい服をパッと着こなすんだろうなと思いながら部屋を出た。
待ち合わせにやってきたアイツを見た時、充分見慣れてる筈なのに"うわ"と声が出そうになった。
オレンジ色の髪の毛は後ろに結ばれてよく見るジャケットを着ているのに、なんでだ。
『うわ、なんでそんなにカッコよくしてきたの』
「あ？…お前も綺麗にしてんじゃん」
ああ、メンバーがいなくて良かったpart2
店に到着してからもAが気に入るか、そして今日がうまくいくかそれに緊張してなんだか落ち着かなかった。落ち着きを装ったけどテーブルの下でずっと手遊びをしていたし、視線は湯呑みに一直線。
一言、二言交わしてやって来たお寿司に集中した。Aのためとはいえ自分も寿司は大好きだしここに来るのが楽しみだったから。
『はぁ…幸せ』
美味しい時に出る溜息に思わず視線を上げた。
「…美味しい？」
『うん。最高。』
「なら良かった。」
彼女が時々息を吐いたり『うわあ』と声を出しながらひたすら寿司に向き合う姿を見ながら口角が上がる。
ホシとだって食べたし、なんならメンバーと食べることもある食事だけどこんな風に美味しそうに食べる姿を見るだけでなんだか自然と嬉しくなるのはAだからか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 705人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RIN
| 作成日時：2022年11月19日 10時
