29話やで ページ31
side侑
『っ、あつむ、くん。』
確かめるように俺の名前を呼ぶ声が聞こえ目線を下にやると、Aちゃんは目に涙をためながらこちらを見ていた。
侑「遅くなってごめんな。もう大丈夫やで。」
どう伝えれば、安心したように俺の腕をギュッと握ってくれる。Aちゃんの体から力が抜けたのを感じながら、俺は目の前の男を睨みつけた。
「へ〜、かっこいい登場じゃん。なに?そんなにそいつがいいの?やめとけよ、そいつ只の人形だぜ?人の言うこと聞くだけのつまんねーヤツ。お前もすぐ飽きるよ。」
こいつが話し出した途端、またAちゃんの体がこわばった。せっかく安心してくれとったんに。
侑「ほ〜ん。お前可哀想なやっちゃな。」
「は?」
侑「やってあんたは、Aちゃんがどんだけ優しいかも知らんのやろ?めっちゃ料理上手いことも、笑うと可愛いことも、聞き上手なことも、なんも知らんのやろ?俺なんかより長い時間一緒に居ったはずなんに、ほんっま可哀想やわ。」
「っ、ふざけんなよ。お前だってどうせ飽きたらポイだろ?他の奴らと同じように!」
侑「Aちゃんと他の豚どもを一緒にせんでくれん?あんなやつら足元にも及ばんわ。ま、あんたがAちゃんの良さを1ミリでも知る前に俺がもらったからあんたはこれから先一生知らんやろうけどな。」
「うるせぇ!なんで俺がそんな女に後れを取るんだよ!ふざけんな、お前なんか一生俺の存在に怯えて過ごせばいいんだ!」
侑「そんなんさせるわけないやん。この子は俺が守るんやから。」
「ヒーロー気取りかよ!だったらお前も一緒にボコボコにしてやるよ!お前バレー部だもんな!怪我なんかしたら試合出れなくなるだろ?その前に喧嘩なんかしたら部活にも行けなくなるか?」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、目の前の男がこちらに向かってきた。ガードするために腕を前に出した瞬間、
『だめっ!!!』
バキッ!!!!!
・・・今、何が起こった?ガードしようとして、腕を出したらAちゃんの声が聞こえて、その後なんかを殴る音が聞こえて、でも俺の腕は痛くなくて、じゃあAちゃんは?
『・・・。』
下を見ると、倒れて動かないAちゃん。は?どういうことや。
「は、ははっ、やっぱりお前はそうやって殴られてた方がお似合いなんだよっ!?」
気付いたら俺の体は勝手に動いて、目の前の男を殴ろうとしとった。
?「侑、やめとき。」
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作者名:雨星 | 作成日時:2020年5月19日 0時