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体育の時間、いつもより騒がしいのは、3年生の男子と合同だからであろう
今の3年生の顔面偏差値、とかいうよく分からない偏差値は、友達情報によるとかなり高いらしく、クラスの女子たちは、授業中というのも忘れ騒がしかった。
パッと3年生の方を見ると、遠くからでも分かる茶髪に他の人より低い身長からうらた先輩は、すぐわかった。
「静かにしなさい!!」
堪忍袋の緒が切れたのか、顔を紅潮させて怒る先生に女子たちの間には、沈黙が訪れる。
「じゃあ準備はじめて」
今のこの寒い時期は、持久走。という鬼畜な授業。
冷たい風が吹き付ける中、ジャージを脱ぎ半袖になって、スタートラインへと立った。
「じゃあ、行きます。よーい、スタート」
ピッというタイマーがスタートされる音と同時に砂を蹴る音が次々と地面へと溶けていく。
3年生の前を通らなければいけないことに途中、気がついて、私は俯いて走るようにすることにした。
う「頑張れ!」
うらた先輩の普通の男子よりも少し高い声が校庭に響き渡った。
声が聞こえたほうへと振り向くと、ニカッと微笑みながら、手を振ってくる。
でもどうも目線が合わなくて、彼の視線の先を見ると、私の胸へと注がれていた。
『へんたい…!!』
きれた息で叫ぶのには、精一杯の声を張り上げてそう伝えると、クスクスとうらた先輩の友達であろう人たちは、笑って肩を組みあう。
授業ってそんな自由でいいものなのか、なんて思いながら、視線を前へと移して、ただ走り続けた。
「お疲れ様ー」
授業も終わり、友達と教室に帰ろうとグラウンドを歩いていたとき、グイッと後ろから突然肩を組まれたのだ。
ふわりと香る優しい石鹸のいい香りが漂う。
チラリと視界の端に見えた茶髪。
『お疲れ様です、うらた先輩』
う「そっちの子友達?こんにちはー」
友「こんにちは」
人当たりがかなりいいのか、営業スマイルを友達へと振りまいた。
あっ、そういえば、と何かを思い出したかのように話し出す先輩に耳を傾ける。
う「お前女っぽくねーな」
『…はい?』
う「まずこの髪。低めの後ろくくりじゃなくて、せめて高めのポニテにしろよ。
で、軽く香水とかつけたら?ずっと、いい匂いでいたいとかねぇのかよ…、他には…」
『も、もういいです!』
指でこれもこれもと数える先輩を止めて、私は友達の手をとって教室へと走り出した。
乙女心わかってくださいよ…。
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タシア松(プロフ) - ぽにょさん» ありがとうございます!!最高の褒め言葉です、 (2022年9月25日 20時) (レス) id: d89a5c0024 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょ - 1話1話見るごとにきゅんきゅんしてもう最高です_:(´ཀ`」 ∠): (2022年8月8日 18時) (レス) @page14 id: b0029b04cd (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごい嬉しいです!!!ありがとうございます!!この作品を好きだと感じてもらえることができてよかったです! (2021年10月26日 6時) (レス) id: 63758ca099 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - な、な、な、なんだこの……神作者と神作品は!? (2021年10月26日 2時) (携帯から) (レス) id: d13b409c87 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - 乘肄さん» 最高のお言葉ありがとうございます!! 完璧にかけたのなら幸いです、これからも日々成長していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします (2020年5月19日 22時) (レス) id: 73485a3048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タシア松 | 作成日時:2020年1月12日 23時